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「なぜ私が先に?」進まぬワクチン接種、景品のiPadやピザで誘う米国

  • 医療従事者でもワクチンの虚偽情報をうのみ、上級職員や牧師が説得
  • ワクチン開発・生産者は安全性を主張、情報開示に努めてきたと説明

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米ノースカロライナ州とオハイオ州では、高齢者福祉施設の大半の職員が新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチン接種を拒否している。取材したフロリダ州の医師も、ニューヨーク市の救急医療隊員も接種を受ける気はないと話す。こうした前線のスタッフにワクチンを積極的に受け入れてもらえるよう、米連邦政府はくじ引きでの景品提供やピザパーティー開催などを提案している。

  パンデミック(世界的大流行)を終息させる可能性を持つワクチンに拒否反応を示しているのは、ソーシャルメディア上で根拠のない理論を口にする反ワクチン活動家だけではない。看護師や消防士なども、過去最速で使用が認められたワクチンの安全性に疑問を投げ掛けている。

  全米有数の規模で民営の高齢者福祉施設を展開するプルイットヘルス(ジョージア州)のニール・プルイット・ジュニア最高経営責任者(CEO)は、「『なぜ私が真っ先に投与されなければならないのか』という声が上がっている。『実験台』といった言葉も聞かれる」と話す。

  米ファイザーとドイツのビオンテック、米モデルナはいずれも、自社で手掛けた新型コロナワクチンが安全であり、研究や各種手続き、生産の計画に関してかつてないほどの情報を開示してきたと説明している。  

Northwell Health Immunizes First Frontline Worker With Moderna COVID-19 Vaccine

モデルナのワクチンを投与されるヘルスケア従事者 バレーストリーム(ニューヨーク州)12月21日

写真家:Eduardo Munoz / Reuters / Bloomberg

  それでも非営利団体カイザー・ファミリー財団の調査では、共和党員や黒人、農村部を中心に27%が新型コロナワクチンを全く望んでいないと回答した。

  一部の医療従事者は、短期的な副反応あるいは長期的な未知の危険性を挙げて新型コロナワクチンに反対している。感染症の専門家が指摘するほど自分たちは危険な状態に置かれていない、既に免疫を獲得している、従来の治療法を信頼しているといった理由を挙げる人もいる。日々の業務に科学を取り入れている人々の間でさえ、虚偽情報や陰謀論的な疑いがまかり通っている。

  新型コロナワクチンの接種により、広範囲にわたって被害が出ている兆候はない。米疾病対策センター(CDC)は深刻な副反応が生じる確率を0.001%としている。

  CDCはワクチン接種を受けた人をソーシャルメディア上で称賛することや、接種を広げるためにピザパーティーを開催したり景品を渡したりすることを提案している。

  プルイットヘルスのプルイットCEOによると、同社では1万6000人の職員の半数がこれまでに接種を受けている予定だったが、実際には25%程度にとどまっている。接種に乗り気でない職員に対し、10ドル(約1040円)のギフト券や、アップルの「iPad(アイパッド)」が当たるチャンスのあるくじなどを提供。上級スタッフのほか、牧師まで駆り出して説得に当たっているという。

SSM Health St. Anthony Hospital Distributes Covid-19 Vaccine To Medical Workers

ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチン

写真家:ニックオックスフォード/ブルームバーグ

原題:Vaccine Skepticism Extends Even to Health Workers Fighting Covid(抜粋)

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