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2021年は日本国内のM&Aが活発化の見通し、敵対的買収も増加へ

  • 企業は潤沢に積み上がった現金を買収資金に充当
  • 新型コロナが落ち着いた2020年下期からM&Aは増勢

日本国内の合併・買収(M&A)は昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた上期(1-6月期)の落ち込みを下期に盛り返したが、総額では一昨年にわずかに及ばない約1400億ドルだった。

積み上がった現金

国内上場企業は歴史的な水準の現金を保有

出所:ブルームバーグ

Note: Years are FY ending in March of next year; 2020 figure is latest filing.

  M&A市場に詳しい関係者らは下期の増加基調が2021年も続くと予想する。昨年中に合意に至った案件の発表も期待できるほか、旺盛な需要や膨大な現金や外部からの影響もあり、最も活発な1年になる可能性があるという。

  デービス・ポーク・アンド・ウォードウェル外国法事務弁護士事務所でパートナーを務めるケン・ルブラン氏は「日本企業は非中核資産を売却して事業統合を進めた結果、より多くの現金と実力を備えて2021年を迎えている」と話す。

  ブルームバーグのデータによると日本企業は2010年以降、M&Aに6461億ドル(約67兆円)を投じており、過去3年にわたりアウトバウンドのM&A案件でアジアを席巻してきた。海外M&Aをけん引してきた傾向は今後も続く見通しで、企業は資産の再編や国内競争環境を評価するため、国内に焦点を当てている。また、新型コロナウイルスの感染拡大も海外市場を評価する上での不確定要素となっている。

  2021年、国内企業のM&Aを取り巻く注目のテーマは次の5つ。

  
国内事情

  コロナ禍により海外渡航が制限されたことで、日本企業は国内市場や自社のバランスシートの状態により神経を注ぐようになった。そのため、より多くの企業が断片化した分野でシェアを拡大するため、非中核資産を売却し国内の競合他社買収を検討している。

  JPモルガン証券投資銀行部、M&Aグループ責任者の土居浩一郎氏は「日本企業は非中核事業の売却により積極的になっている。欧米では当たり前だったが、これまで国内ではそうではなかった」と述べた。


親子上場の解消

  国内では親子上場は一般的だが、親会社と子会社が両方上場することは他の先進国ではあまりなく、コーポレート・ガバナンスの観点からも問題視されることがある。以前から親子上場の解消は投資のきっかけになり得ると見られてきたが、昨年から本格的な動きが出てきた。

  NTTドコモは親会社であるNTTによる完全子会社化で上場廃止となり、ソニーは金融事業部門のソニーフィナンシャルホールディングスを完全子会社とした。また、伊藤忠商事はファミリーマートの買収を実現した。2021年の注目は富士通トヨタ自動車など、傘下に複数の上場企業を持つ会社だ。

海外企業の買収

  企業買収は活発になりつつあるが、海外企業の買収となると注意が必要だ。幹部が買収先のデューデリジェンス(資産査定)や面談などのために海外に出向くことが制限される状況が続けば、大規模なM&Aは期待しづらいという。昨年最大の案件は、セブン&アイ・ホールディングスによるマラソン・ペトロリアムのコンビニ併設型ガソリンスタンド事業「スピードウェイ」の買収だった。


敵対的買収

  株主価値を高めるコーポレート・ガバナンスの定着とともに、長い間国内でタブー視されてきたライバルへの敵対的買収が徐々に出てきている。昨年、コロワイドは敵対的な買収を仕掛けて大戸屋ホールディングスの5割弱の株式を握った。ニトリホールディングスは、DCMホールディングスとの株式公開買い付け(TOB)による争奪戦を制して島忠を連結子会社化した。

プライベート・エクイティ

  かつてハゲタカと呼ばれたファンドも、企業が非中核資産を処分するための有効な選択肢と考えられるようなった。プライベートエクイティ(PE)ファンドの活動は昨年鈍化したが、それは次の案件のための資金「ドライパウダー」が積み上がっているにすぎない。


  米カーライルが昨年3月、日本でのバイアウト投資向けファンドで調達した2580億円(24億ドル)は、その前の調達額に比べて2倍以上の規模だった。過去1年、同社は幹部を採用し、日本国内での大規模なディールの可能性について公言している。

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