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緊急事態宣言で「二番底」懸念、選挙迫る菅首相は難しいかじ取り

更新日時
  • 1-3月期は再びマイナス成長に陥ると試算するエコノミスト増加
  • 五輪中止なら大打撃、補欠選挙次第で菅おろしも-みずほ証の上野氏
菅義偉首相

菅義偉首相

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
菅義偉首相
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

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緊急事態宣言発令により、2021年の日本経済は昨年の発令時に続く「二番底」に陥る懸念が強まってきた。衆院の任期満了を10月に控える菅義偉首相は、感染拡大防止と景気回復の両立という難しいかじ取りを迫られている。

  政府が東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に発令した緊急事態宣言の期間は8日から2月7日までの1カ月間。経済への影響を考慮し、飲食店の営業時間短縮などに集中して対策を実施する。

  緊急事態宣言による消費の停滞を中心に実質国内総生産(GDP)は数兆円規模で下押しされ、1-3月期の日本経済は再びマイナス成長に陥ると試算するエコノミストが増えている。政府は2月にワクチン接種を開始する予定だが、変異種も見つかるなど、すぐに効果を発揮するかは不透明だ。

  IHSマークイットの田口はるみ主席エコノミストは、「緩やかな制限であるだけにそれで感染が収まるかが問題だ」と指摘。宣言1カ月強で2.5兆円程度の経済下押しと見積もっており、「延長すると下押し圧力が強まる可能性は否定できない」と述べた。

主な日程

1月 通常国会

4月 衆参両院の補選

7月 東京都議 任期満了

7-8月 東京五輪

9月 自民総裁 任期満了

10月 衆院議員 任期満了

  麻生太郎財務相は8日、緊急事態宣言の経済への影響について予断を持って言うのは差し控えるとしながらも、1-3月期に影響するのは「間違いはない」と語った。宣言の効果については「よく分からない」とし、1-3月期以降どうなるのか「今言える段階にはない」と述べた。

  経済重視の姿勢を取ってきた菅首相は、年末年始の観光支援策「GoToトラベル」一時停止や緊急事態宣言の再発令も世論に押される形で判断し、対応が後手に回った。5人以上の会食に出席したことなども批判され内閣支持率は相次いで40%を下回った。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、宣言解除から五輪開催の最終判断までに残された時間は1カ月半程度で、「仮に東京五輪がコロナ禍を理由に中止となった場合、菅内閣に及ぶ政治的ダメージは極めて大きなものになる」と指摘。さらに二つの衆参両院の補選で自民党が負けると「次の衆院選はこのままでは戦えないという理由で菅おろしが起きる可能性も取り沙汰されている」と説明した。

Prayers At Kanda Myojin Shrine On The First Business Day Of 2021

都内の初詣客

Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg

  18日召集の通常国会では、新型コロナ対策を盛り込んだ第3次補正予算案と来年度予算案の早期成立を目指している。同対策は、感染拡大防止や雇用や事業の維持など「守り」の姿勢から、デジタル化やグリーン化などポストコロナの中長期的な成長戦略の「攻め」へと軸足を移そうとしたが、感染者増加に出はなをくじかれた。

  野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、宣言が2カ月継続した場合をメインシナリオとして1-3月期の実質GDPは前期比年率7.5%押し下げられ、失業率は年内にも4%台が視野に入ると試算。企業・雇用者の支援策を強化し、局面の変化に合わせた経済対策の大幅な見直しが必要だと訴えた。

  一方、経済財政諮問会議の民間議員を務めるサントリーホールディングスの新浪剛史社長は、2月までに感染拡大を抑制できれば経済の影響は「最小限」になり、政策支援もあって1-3月期のプラス成長もあり得ると予想する。ただ、緊急事態宣言の対象地域が大阪や名古屋に広がることを懸念材料として挙げた。

(最終段落にサントリーHD新浪剛史社長のコメントを入れて更新します)
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