首都圏で緊急事態宣言へ、飲食中心に「限定・集中的」-菅首相
広川高史、占部絵美-
飲食での感染リスク軽減を実効的なものにする
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特措法改正案は通常国会に提出、2月下旬のワクチン接種開始へ準備
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菅義偉首相は4日の記者会見で、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の発令の検討に入ると表明した。対象は東京など1都3県。時期や具体的な内容は明らかにしなかったが、飲食の感染リスクを軽減することが重要と強調した。

菅義偉首相
Photographer: Yoshikazu Tsuno/Gamma-Rapho/Bloomberg
給付金と罰則を一体とした特措法改正案については通常国会に提出する方針だ。ワクチンについては、2月下旬に接種開始できるよう準備する。
菅首相は、飲食に関する「感染リスクの軽減を実効的なものにするために内容を早急に詰める」と説明。これまでの経験を生かし、「限定的に集中的に行うことが効果的だ」と述べた。
FNNは、宣言の発令期間は9日午前0時から1カ月程度を検討していると報じた。
会見した西村康稔経済再生担当相は、最終的な措置や地域、期間は専門家の意見を聞きながら検討をすると話した。入学試験は感染防止策を取った上で実施するほか、小中学校を一斉休校することは現時点で考えていないと説明した。
首相の他の発言 |
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東京都では4日、884人の新規感染者を確認するなど感染拡大に歯止めがかからない状況が続いている。重症患者は108人と過去最多となった。
小池百合子知事は宣言発令に速やかに対応できるよう態勢を整える考えを示した。時短要請だけではなく、テレワークや時差通勤なども1都3県で協力して効果のある方法で進めると述べた。
宣言が発令されると、対象地域の知事は外出自粛要請、学校や福祉施設の使用停止の指示、休業要請に応じない店舗名の公表などさまざまな措置を実施することが可能になる。政府は昨年4月7日に発令した後、5月25日に全面解除した。
新規感染者数の推移
出所:東京都
昨年4月の発令時は外出自粛や休業要請に伴い経済情勢は急激に悪化。同4-6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率29.2%減と、リーマンショック後の09年1-3月期(同17.9%減)を超えて戦後最大の落ち込みを記録した。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、首都圏で発令されると、1-3月期のGDP成長率の前期比マイナスや景気二番底のリスクが高まると分析。「景気に配慮して決断が遅れてしまったことで、かえって景気を悪化させることになってしまった」と指摘した。
菅首相が緊急事態宣言を発令する方向で検討していることが分かり、4日の東京株式相場は続落した。発令によって影響を受ける業種が値下がりし、空運や陸運といった旅行関連銘柄の下げが目立った。東京外国為替市場のドル・円相場もリスク回避的な円買いが優勢となった。長期金利も低下した。

神田明神の初詣客(4日・都内)
Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg
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