, コンテンツにスキップする

コロナ起源の謎、解明難しくする中国-武漢に日常戻り真相分からずか

  • コロナ抑え込む中国、根本的な発生源との見方否定する取り組み強化
  • 武漢の市民生活は通常に戻る-WHOチームが訪れても収穫少ないか

中国湖北省武漢市の海鮮市場業者らが原因不明の肺炎で入院し始めた当時から1年が経過した。新型コロナウイルス感染症(COVID19)を巡り、どのように感染が広がるのか、どんなワクチンが必要なのかなど世界は知見を深めてきた。だが、200万人近くが死亡し、世界経済を揺るがす新型コロナについて、どのように感染が始まったのかは分かっていない。

  新型コロナが最初にどこで現れ、どのように人に広がっていったのかは依然として謎であり、時間の経過と共にさらに分かりにくくなっている。武漢の市場で店を開いていた関係者で最初のクラスター(感染者集団)が確認されているが、それより前の痕跡はほぼ途絶えたままだ。

  コロナがまず直撃し、備えがまだ十分でなかった世界に感染症を広げたと多くが非難する中国には、この100年で最悪の公衆衛生の緊急事態を招いた真の起源究明を手助けする動機は今や乏しい。

  中国は厳しい境界規制や大規模検査、携帯電話の履歴を通じて感染者や濃厚接触者を追跡する監視網などで新型コロナ感染症を実質的に抑え込んだ。中国はコロナを巡り話を最初から見直そうとしており、震源地の武漢以上にそれが明確に分かる場所はない。

CHINA-HUBEI-WUHAN-COVID-19-EXHIBITION-OPENING (CN)

武漢市で開かれている「新型コロナとの闘い」特別展(2020年10月15日)

Photographer: Xiao Yijiu/Xinhua/Getty Images

  武漢市では「新型コロナとの闘い」特別展が開かれている。展示ホールの入り口には、毛沢東主義時代の宣伝ポスターに描かれる英雄のように、マスク姿の警察や医師、兵士ら初期対応に当たった関係者のイメージが出迎える。

  会場内には看護師の両手を写した巨大な写真が防護服を着たマネキンの大群を覆うように飾られている。また、重症者を治療する医師の立体画像が実際の病院ベッドに投影されている。近くには透明なケースに入れられた検査キットも展示されており、別の時代の工芸品のようだ。

  世界各国・地域が死者の急増や変異ウイルスへの対応を続ける中で、中国ではコロナ禍を既に過去の話のように扱っている。展示会場の入り口にはコロナに関する時系列の説明はあるが、武漢の「華南海鮮市場」や最初の感染者、政府による感染拡大初期の情報隠しに対する市民の不満への言及はない。早い段階で内部告発し、コロナで死去した眼科医の李文亮氏は亡くなった他の武漢の医師と共に名前が記載される形で、ほとんど目立たない。

  米国を苦しめるコロナ危機に打ち勝ち、中国が従来見通しより5年早く米国を抜いて世界最大の経済大国になるとの英調査機関の予測もあって、多くの中国人にとって当初の怒りは自尊心へと変化している。

Life In Wuhan One Year After First Covid-19 Diagnosis

武漢の夜店で買い物をする人々(2020年12月10日)

Photographer: Getty Images

  コロナを断固抑え込んでいる中国では、同国が根本的な発生源だとする見方を否定する取り組みが広がっている。中国外務省報道官は米軍が持ち込んだ可能性があるとの陰謀論を支持。国内の港湾や低温貯蔵施設の労働者に感染が相次ぐと、国営メディアは輸入した冷凍食品を通じてコロナが入ってきたのではないかとする主張を展開した。武漢よりも先に米国やイタリアで感染があったことを示唆する研究にも飛びついた。

武漢のコロナ流行から1年-中国、パンデミックの経緯書き換え意図か

  コロナ起源の解明を専門とする世界保健機関(WHO)チームは武漢を今月訪れたい考えだが、同地には明らかにできるものは多くないかもしれない。ロックダウン(都市封鎖)を最初に経験した人口1100万人の武漢市民の生活はほぼ通常に戻った。

  カリフォルニア大学サンディエゴ校の感染症医で、科学誌クリニカル・インフェクシャス・ディジーズの編集主幹を務めるロバート・スクーリー氏は「全ての証拠があるべき場所にまだ残っていたとしても、こうしたことは遡及(そきゅう)的にたどるのを非常に難しくする」と述べた。

中国のコロナ震源地を再訪

Source: Bloomberg)

原題:
China Making It Harder to Solve the Mystery of Where Covid Began(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE