さよならロンドン、金持ちばかりでない-コロナで郊外への移転急増
Olivia Konotey-Ahulu-
ロンドン脱出で市内の賃貸料下落したのに対し国内他地域は上昇
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中産階級化で住宅確保の困難さが郊外や地方都市にも波及
ジョンソン英首相が首都ロンドンとイングランドの他の都市との格差を是正する方針を示した際、現在起きているような事態を思い描いていた訳ではないだろう。
新型コロナウイルス拡大で住民のロンドン脱出が急増した結果、同市と他の国内都市との賃貸料格差は少なくとも過去5年で最速のペースで縮小している。賃貸サービス会社ホームレットによれば、ロンドンの賃貸料が11月に前年同月比で4.4%下落したのに対し、国内の他地域では5.6%上昇した。
南西部の景勝地で観光スポット、コーンウォールの郡議会議員を務めるマーク・カクマレク氏は、「富裕層ばかりではない。最近は高級住宅街以外の不動産にも需要があり、相場は通常の価格や賃貸料の動きとかけ離れた上昇となっている」と話した。ホームレットによれば、コーンウォールの賃貸料は約9%上昇している。

コーンウォールのセントアイブス
この結果、大都市圏では普通だが、田園部や郊外ではこれまでなかった苦難が住民やサービスに押し寄せている。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの研究者、ヨランド・バーンズ氏は「中産階級化の一形態だ」と指摘、「再生とかレベルアップと言うと通常良いことだと見なされる」が、経済的な利益は地元住民にとって住宅が入手しにくくなるという代価を伴うと説明した。
Moving Out
The pandemic is pushing a new wealth bracket out of London
Source: Hamptons and Mosaic
Q4 2020: 1st Oct - 17th Dec
ロンドンの住民にとっては、住居確保の困難さは特に過去10年の不動産ブーム以来大きな問題だった。独立機関のインスティチュート・フォー・フィスカル・スタディーズによれば、ロンドンの世帯収入の中央値は全英平均を14%上回るが、住居費を差し引いた後ではその差が1%に縮小する。
弁護士見習いのケイディーン・ペトグレーブ氏(27)にとっては、新型コロナが郊外への転居を促す最後の一押しとなった。同氏はロンドンのベッドタウンであるサリー州レッドヒルに引っ越した。
「二度とロンドンに戻りたいとは思わない」と同氏は話す。現在のワンベッドルームの家の賃貸料は、ロンドンで住んでいたもっと狭い場所に払っていたより約300ポンド(4万2000円)安い。掃除機を入れられる大きさの収納や在宅勤務用スペースを確保できるリビングルームなど利点は多い。
「ロンドンを離れるよう皆を説得している。別の場所でやり直そうと呼び掛けている」と同氏は話した。母親と兄弟も近くに越してきたという。

サリー州レッドヒル
ロンドンからシェフィールドに引っ越したソフィー・スメドリー氏(23)も、戻る気はないと言う。マーケティング業界で働く同氏は「ここの方が落ち着く。以前は共有食事スペースの小さな椅子で縮こまっていたが、ここでは大きな窓から木々が見える。全く違う」と語った。
Miles Apart
London leavers are wreaking havoc with the nation's rental market
Source: HomeLet
原題:
Life After London: Covid-Era Exodus Isn’t Just for the Wealthy(抜粋)