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北朝鮮の核脅威、トランプ政権の制裁でも増大-バイデン氏に試練

  • 金正恩氏、「新年の辞」や武器実験を通じて軍事力誇示も
  • 米の防衛システム圧倒できる開発で前進か-専門家の分析

北朝鮮の経済を世界から隔絶させるトランプ米政権の戦略は機能したが、外国の支援なしで軍事力を構築しようとする金正恩朝鮮労働党委員長の取り組みを加速させる結果も同時にもたらした。

  バイデン次期政権を待ち受ける北朝鮮は、より危険かつ自立的で、米本土を核弾頭で攻撃する能力を有する少なくとも3種類の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有している。金委員長はこの2年間、米同盟国への脅威となるさまざまな新ロケットを試射。そうした武器を国内各地に配備するのに必要な特殊トラックの部隊を構築したほか、海上で展開するための潜水艦も建造中だとみられている。

  金委員長は向こう数日間で軍事力強化の前進を再び誇示する可能性がある。恒例の「新年の辞」あるいはより挑発的な武器実験を通じ、過去の米政権の戦略は失敗だったとのシグナルを早い段階でバイデン氏に送るためだ。核兵器拡散防止の専門家によると、厳しい制裁にもかかわらず北朝鮮の新兵器の多くは国内で開発・製造された。

  北朝鮮に「最大限の圧力」をかけるトランプ政権の戦略は、同国を約20年間で最悪の経済縮小に陥れる要因となったが、金委員長に武器開発プログラムを再考させたことを示唆するものは見当たらない。

  米スタンフォード大学の名誉教授で、北朝鮮の主要核施設の査察に参加した数少ない米国人科学者の1人であるジークフリート・ヘッカー氏は、「核分裂性物質の確保や核兵器製造に向けた北朝鮮の取り組みを鈍らせる上で、制裁はほとんど効果がなかったもようだ」と指摘した。

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  金正恩体制の始動から10年経過する2021年12月の時点で、同委員長は核兵器開発・製造で父と祖父をはるかに上回る能力を見せつけることになりそうだ。その結果、北朝鮮に核開発プログラムの単なる凍結ではなく完全な非核化を求める従来方針をバイデン次期政権が維持するのは難しくなるだろう。

  北朝鮮は過去4年間に以下4分野で前進した。

1.核兵器

  北朝鮮は17年を最後に核実験を行っていないが、米ミサイル防衛システムを圧倒できる弾頭開発に向け進歩を続けていると専門家は分析。国連安全保障理事会の専門家パネルは8月、北朝鮮が弾道ミサイルの弾頭として搭載可能な核兵器小型化を恐らく実現したとの見解を示した。ヘッカー氏によれば、北朝鮮は高濃縮ウランに加え、より強力な水素爆弾に必要な核融合燃料の製造能力も有している。17年9月に地下実験した兵器は、1945年に広島に投下された原爆よりも10倍余り強力とされる。

YONGBYON NUCLEAR FACILITY, NORTH KOREA - FEBRUARY 11, 2020:  Figure 6. Overview 5 MWe Reactor and ELWR.

北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)の核施設(2月11日)

2.弾道ミサイル

  北朝鮮はこの数カ月間で、より大型で強力あるいは移動・発射がより容易な新型の弾道ミサイルを幾つか展開した。10月に平壌で開催された軍事パレードで披露した巨大ICBMは複数の弾頭を搭載できる世界最大級の車載移動式ミサイルと分析されている。2019年には韓国全土を数分で攻撃できる極超音速ミサイル「KN-23」も数発試射した。

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10月に平壌で開催された軍事パレードで披露されたICBM

3.通常兵器

  10月のパレードでは対空システムや化学兵器の装備など、少なくとも現代的に見える多種多様な軍事装備を生産できる能力も披露された。金委員長はさらに、最新鋭の核兵器を搭載可能な新型潜水艦とみられる製造拠点も視察した。

Maxar closeup satellite imagery reveals thousands of people assembled in formation near Kim Il Sung Square and rehearsing for the upcoming military parade of the 75th Anniversary of the Workers Party on October 10th, 2020.

10月10日の軍事パレードのリハーサルが行われる平壌の金日成広場(9月17日)

4.軍事研究

  北朝鮮の兵器は、外国で開発された技術を自国のニーズに応用することで国内での限界を克服する能力を示した。「KN-23」ミサイルはロシアの「イスカンデル」をベースに改良を加えたもののようだが、10月に披露された新型ICBMは自国の設計に基づいているように見える。従来の開発手法から著しい進歩だ。

Japan Defense

「KN-23」ミサイルの試射(2019年5月)

原題:
Four Ways Kim Jong Un Got More Dangerous Under Trump Sanctions(抜粋)

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