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米社債市場で投資家をリッチにさせた今年の高リターン取引はこれ

2020年は米クレジット市場にとって特別な年となった。米国で新型コロナウイルスの感染拡大が始まると市場は急落、全てのセクターが不調に陥った。流動性需要が急激に高まる中で、これまで堅調だった企業の債券発行でも利率が2桁に達し、有名企業の社債も割安で購入可能となった。

  しかし社債市場の下支えを目指した米連邦準備制度理事会(FRB)の前例のない取り組みにより債券相場は急反発。その後、取引は活発化し、米大手銀行の収入を大幅に押し上げた。

  全般的に好調だったクレジット市場で、今年特に大きな利益をもたらした取引は以下の通り。

エアビーアンドビー

  投資会社のシルバーレイクとシックスス・ストリート・パートナーズは今年4月、民泊仲介を手掛けるエアビーアンドビーに計10億ドル(現在の相場で約1040億円)を投じた。

  両社が引き受けた第二順位担保権付き債券にはワラント(新株引受権)が付与されており、これがエアビーアンドビーの新規株式公開(IPO)完了により大きな利益をもたらした。この結果、約8カ月間で両社は100%を超える含み益となっている。

  同じく4月に組成・発行された第一順位担保権付き債券のリターンは約17%。

フレッシュ・マーケット

  高級食品小売りチェーン運営のフレッシュ・マーケットはコロナの影響で全米の店舗が営業停止を命じられる前の段階で経営難に陥っていた。16年にアポロ・グローバル・マネジメントに買収された後に債務が10億ドルに膨れ上がり、財務を圧迫していたためだ。社債は額面の50%前後で取引されていた。

  しかし外出を控えた消費者が食料品の備蓄を一斉に始めたことから、5-7月(第2四半期)の売上高は前年同期比25%増となった。

  同社の2023年償還債(表面利率9.75%)価格は3月末時点で額面1ドル当たり39セントまで下落したが、その後反発し103セントまで上げた。価格の下落時に購入した投資家のトータルリターンは175%強となる。

タッパーウェアブランズ

  プラスチック製保存容器などを製造・販売するタッパーウェアブランズは料理ブームに加え、ミゲル・フェルナンデス新最高経営責任者(CEO)が推し進める意欲的なコスト削減計画が奏功し、今年、業績が改善した。

  株価は年初来で約300%上昇。債券投資家も利益を得た。発行規模6億ドルの2021年償還債(表面利率4.75%)の価格は、タッパーウェアが同債の一部を大幅な割安価格で買い戻すと発表した後、5月に一時、額面1ドル当たり30.125セントまで下げた。

  しかし12月に同社が投資会社アンジェロ・ゴードンおよびJPモルガン・チェースとローン契約を結び、借り換えのため残る証券をほぼ額面価格で償還したため、最安値で購入した投資家のトータルリターンは230%を超えた。

クルーズ船会社

  コロナ禍が米国内に定着する中、クルーズ業界は最も資金難に陥ったセクターの1つとなった。世界的な運航停止に加え、クルーズ船自体がコロナ感染の震源地として注目を集めたことから、運航再開の見通しが立たなかった。

  こうした中、業界で最初に債券市場で資金調達を行ったのはカーニバルだった。同社は船舶と知的財産を裏付けに規模40億ドルの3年債を発行。表面利率は投資適格級企業としては異例に高い11.5%だった。額面1ドル当たり99セントで発行された同債のリターンは約25%となっている。

  比較的低い格付けのノルウェージャンクルーズライン・ホールディングスとロイヤル・カリビアン・クルーズが5月に発行した担保付き債のリターンはそれぞれ約29%と27%。

原題:The Winning Credit Trades That Made Debt Investors Rich in 2020(抜粋)

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