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中国共産党が「需要サイドの改革」に言及-格差是正で経済後押しも

  • これまでは産業高度化や過剰生産能力削減など「供給サイド」に重点
  • 税制通じた所得再分配も視野-障害大きく緩やかな変化にとどまるか

中国共産党が国内経済の「需要サイド」を改革するとの新たな方針を打ち出した。個人消費を刺激するため、党指導部が格差是正に向けた政策を強化するとの期待が広がっている。

  最高指導部は今月に入り初めて「需要サイドの改革」との文言を使った。これまでは産業の高度化や肥大化したセクターの生産能力削減など「供給サイド」の見直しに重点を置いていた。

  効果的な新型コロナウイルス対策で、今年の中国経済は主要国で唯一プラス成長を確保する見通しだが、家計消費が不動産投資やインフラ投資に後れを取っており、景気回復はまだら模様だ。今回の新たなスローガンは共産党がこの点を懸念していることを示唆している。中国は需要サイドの改革が何を意味するのか詳しい説明を控えているが、当局者は手掛かりを提供し、エコノミストは早くもそれぞれの見方を示している。

Workers' Share Stagnates

Attempts to rebalance economy haven't borne fruit yet

Source: Sources: University of Groningen, University of California, Davis, via Federal Reserve Bank of St Louis' FRED database

所得の再分配

  「需要サイド」とは投資や個人消費、純輸出などを指す。中国は外需が落ち込んだ2008年の金融危機時に経済成長のけん引役として、輸出に代わり投資に頼ったが、その後は需要を個人消費に「リバランス」することに手間取ってきた。

  エコノミストらはその原因として、所得格差のほか、対国内総生産(GDP)比で労働者の賃金よりも資本所有者への利益還元に回る割合が比較的高いなど幾つかの要因を挙げている。

  習近平国家主席や劉鶴副首相らは今年、こうした問題に注目。習氏は8月に配信された演説で、賃金の割合の低さや所得分配を巡る未解決の問題に言及し、格差の弊害を示すものとしてフランスの経済学者トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」にも触れた。また、劉副首相も賃金引き上げのメカニズム改善を呼び掛けた。

  来年の経済運営方針を決める中央経済工作会議の後、共産党は「所得構造を最適化し、中間所得層を拡大する」方針を示した。上海市政府は次期5カ年計画に「過度に高い所得の規制」など「公平な」所得分配を盛り込んだ。

  これは税制を通じた政府のさらなる介入が必要になると、複数の政府系エコノミストは指摘。具体的には富裕層に対する所得税増税や低所得者への所得税控除、不動産など資産への課税、金融取引に対するキャピタルゲイン課税などが含まれる。

社会福祉

  中国は医療や教育などの公的サービスの質ならびアクセスを巡る地域間の格差を是正する方針も示している。こうした分野に政府支出を振り向ければ、所得から貯蓄に回す分を減らし、モノやサービスの消費を増やすよう家計部門に促すことができる。

横たわる障害

  中国は今年に入り、経済成長のけん引役として輸出よりも内需に依存する「双循環」戦略を打ち出した。中国政府は輸送インフラ・住宅からテクノロジーや環境プロジェクトに軸足を移しつつも、高水準の投資支出を維持するとエコノミストは見込んでいる。

習氏が狙う中国経済の自立強化-世界のモノ・サービスの流れに影響も

  だが、こうした変化は緩やかとなる公算が大きい。中国は固定資産税を10年余りにわたって計画しているが、富裕層の抵抗や資産価格の下落を巡る不安から推進できていない。共産党は最近の会議で供給サイドの改革が今後も政策の「軸」になると言明した。

原題:
China Looks at Cutting Inequality in Order to Boost the Economy(抜粋)

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