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2020年、ウォール街が学んだ苦い教訓-醜悪な争いや取引中止も

  • 企業が債務整理を続ける中、さらなる「ドラマ」が待ち受けている
  • 破産申請した企業を巡る強硬手段など、一部では行き過ぎた行動も

歴史ある小売業者の経営破たんから著名ヘッジファンドマネジャーの失墜まで、2020年は経済が悪化すると何が起きるかについて苦い教訓を提示した。

  破産申請件数は過去10年で見られなかった水準に達し、米国のディストレスト債は1兆ドル(約104兆円)に膨らんだ。航空各社や外食産業、ホテル業界が受けたダメージの回復には数年を要する可能性がある。今年は間もなく終わるが、「ドラマ」は今後も続きそうだ。

  米投資銀行フーリハン・ローキーのソール・ブリアン氏は「これら企業の一部は債務を大幅削減して新たな資金を提供してもらえなければ、リストラしても救えない」と指摘。「やっているのは所有権の変更だけであり、足腰の弱ったロバを引き取っても競走馬にはならない」と述べた。

  ウォールが今年得た教訓の一部を以下にまとめた。

Rough Winter

Chapter 11 pace slowed, but it was still the worst December since 2011

Source: Bloomberg

Note: Filings are of companies with $50m+ in liabilities

1. 醜悪な争いに発展

  一部の債権者が他の債権者を犠牲にして弁済順位を上げようとした時には訴訟が起きた。投資会社アポロ・グローバル・マネジメントやその他の貸し手は、寝具を手掛けるサータ・シモンズの債務再編案に異を唱え提訴した。

  行き過ぎた行動も一部にあった。 ヘッジファンド運営会社マーブル・リッジ・キャピタルの創業者ダン・カメンスキー氏は、破産申請した高級百貨店ニーマン・マーカス・グループの株式を安く取得しようと画策し、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループ買収を断念するよう脅した。これが問題視されたマーブル・リッジは閉鎖に追い込まれた。

2. 契約の細則に要注意

  新型コロナウイルスが米国全体に広がると、企業の合併・買収(M&A)、資金調達のパイプラインは凍結した。4月までに世界全体のM&Aは前年同期比で約3分の1減少した。

  争われた取引の中には、ソフトバンクグループによるウィーワーク株最大30億ドルの買い付け中止や、シカモア・パートナーズによるランジェリーブランド「ビクトリアズ・シークレット」の経営権取得などがある。

  中止された取引を巡る訴訟が裁判所には殺到。企業弁護士らは契約締結に際し、重大な事態の変更が生じたことを理由に合意を撤回できる「MAC条項」の細則を繰り返しチェックすることを余儀なくされている。

3. コロナ禍でも堅調維持

  社債市場の不調は長く続かなかった。米連邦準備制度による流動性供給は企業の債務不履行(デフォルト)などを未然に防いだ。市場は広範な信用供給を行い、足元が揺らぐ企業も支えた。9月までに新規社債発行額は過去最高を記録した。

  新型コロナ禍の直撃を受けたカーニバルなどクルーズ船運航会社でさえ、社債発行で資金を調達できている。社債市場での売り浴びせから利益を得ようとしていた投資家の思惑は外れた格好だ。

4. ゲーム化した株式市場

  破産申請した企業の株式は通常、法的手続きが進む中で紙くず同然となるが、今年は投資アプリ「ロビンフッド」などを利用するデイトレーダーが殺到した。

  レンタカー会社のハーツ・グローバル・ホールディングスの株価は、連邦破産法11条の適用を申請後に2倍余りに跳ね上がった。

5. 間違いは高くつく

  米化粧品メーカーのレブロンは債務再編で破産を免れたが、その過程で事務代行していたシティグループは8月に9億ドルの誤送金というウォール街史上で最も記憶に残るミスの1つを犯した。

  運用会社HPSインベストメント・パートナーズのバイスプレジデントの1人はスティーヴ・ミラー・バンドの1970年代のヒット曲になぞらえ、「テイク・ザ・マネー・アンド・ラン(金を取って逃げろ)だよ」と8月14日までに話していたという。

Hertz shares rally in spite of bankruptcy filing

原題:
Wall Street’s Painful Lessons From a Year of Epic Debt Fights(抜粋)

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