, コンテンツにスキップする

英国でEU離脱の移行期延長論が高まる、実現は困難-法や政治が障害

英国は新型コロナウイルスの変異種の対応に苦慮している上、欧州連合(EU)との離脱後の通商交渉期限も迫る。そこで、ジョンソン首相に離脱移行期間の延長を求める声が高まっている。

  カーン・ロンドン市長、スタージョン・スコットランド首相、与党・保守党でもエルウッド議員らが口をそろえて移行期間の延長を主張している。移行期間は12月末で終了する予定だが、延長になれば通商上の混乱を回避しつつ来年以降も交渉を継続できることになる。

  だが、言うはやすく行うは難し。以下の理由で延長の公算は小さい。

1.法的に極めて難しい

  移行期間については、昨年調印された離脱協定に明記されている。2020年12月末から最長24カ月の延長を認めるオプションが盛り込まれているが、延長の決定は今年6月末までに下すことになっていた。

  この離脱協定は英国がEUを離脱した今年1月31日に発効済みだ。離脱協定を今から書き換えることは、法的に可能ではない。

  

2.ジョンソン首相は常に延長の可能性を排除

  法的に難しいと言うなら、政治的にはもっと難しいかもしれない。

  ジョンソン氏は1年前の総選挙で勝利して以来、移行期間の延長はないと繰り返し述べている。21日に首相報道官はこの可能性をあらためて否定した。

  ジョンソン氏が「EU離脱を完了させよう」とのスローガンを掲げて選挙を戦ったことも理由だが、同氏はEUとの交渉を長期化させることにも消極的だ。EUから譲歩を引き出す上で、時間的な圧力が最大の武器になるとも考えている。

3.実は時間が問題ではない

  現在の問題が時間のなさに起因するもので、双方が合意点を見いだすためさらなる協議を必要としている状況であれば、延長も恐らく理にかなうだろう。

  だが、英国とEUの交渉はそうではない。ジョンソン氏とEUに突き付けられているのは、漁業権をはじめ妥協する用意があるかどうかを決断することだ。これは今できないのなら、2年たっても決断できるとは限らない。

4.とは言え、絶対にないとは言えない

  英国とEUの通商交渉は設定した期限が繰り返し守られず、それでも継続している。意志があるところには、ほぼ常に道は開ける。

  EUは当初から、長期の移行期間を望んでいた。英国をEUの圏内にとどめ、EU予算の義務を負わせ、将来の関係についてより包括的な取り決めを交渉する時間を多く確保するためだ。従って英国の政治環境が向こう2週間で劇的に変化するなら、EUは協力する用意があるかもしれない。

  名前を変えて移行期間を延長する可能性もなくはない。合意なき離脱による緊急措置、短期的なつなぎの「ミニ合意」などがあり得る。ただ、目指していた通商協定と比べれば、全く包括的なものではないだろう。

  可能性は極めて低いが、年内に大部分の通商協定で合意し、年明けに残る争点について時間をかけて解決していくこともあり得る。

原題:
Could Boris Johnson Delay Brexit Again? This Time, It’s Harder(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE