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英国の新型コロナ変異種、なぜ警戒されているのか-QuickTake

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ウイルスの変異は常に起きている。パンデミック(世界的大流行)を引き起こした新型コロナウイルスもそうして誕生した。だが、9月にイングランド南東部で発生した変異型がいまやとりわけ懸念を呼び、ロンドン地域でクリスマス時期にかけて緊急ロックダウンが導入されたほか、カナダやフランス、ドイツなどは英国発着の空の便や鉄道の運行を停止した。

1.この変異種がなぜ警戒されているのか

  この変異種「B.1.1.7」は昨年末に中国の武漢で発生したウイルスから約10回の変異を経ており、感染力などウイルスの主な部分が変化している。英国の暫定的な分析によると、この変異種は流行している他の新型コロナウイルスに比べて感染力が70%余り強い恐れがあり、同国で感染者が急増している原因となっているかもしれない。世界保健機関(WHO)はこの変異種について、感染力や重症化の確率、ワクチンの効果などを調べていると明らかにした。

2.いつ出現したのか

  最も早い時期で9月後半にロンドンに加え、隣接するケント州で2つのサンプルが採取されていたことが分かっており、12月初めまで発見は続いていた。この変異種が流行した理由の一つは、家族など人との交流が増える時期に出現したことだろう。科学者らは、慢性的な感染者からこの変異種が拡散された可能性があるとの仮説を立てている。

3.どれくらい速く広がったのか

  この変異種が確認された感染例は12月15日の時点で1623人。このうち519人がロンドンとその周辺地域、555人がケント州、545人がスコットランドやウェールズを含むそれ以外の英国の地域で、デンマークやオランダ、ベルギー、オーストラリアでも見つかっている。英国で新型コロナ感染者の検体を採取してウイルスの遺伝情報を解析するのは10%程度にすぎないため、実際の感染者数はさらに多いことが確実だ。この変異種の流行地域では感染者数が予想以上に速く増えていると、イングランド保健当局は20日警告した。英イースト・アングリア大学ノリッジ医科大学のポール・ハンター教授は、9日までの週にロンドンで新型コロナに感染した62%がこの変異種で、11月初めの28%から上昇したと指摘した。

4.ワクチンは依然有効なのか

  この変異種が感染やワクチンで得られた免疫反応から逃れられるだけの進化を遂げたかについては現時点で判明しておらず、研究が続いている。WHOのマリア・ファン・ケルクホーフェ氏はBBCに対し、現時点の情報では現在展開中のワクチンの有効性がこの変異種で変わることはないと示唆されていると語った。季節性インフルエンザのように毎年変異するウイルスであればワクチンもそれに応じて調整する必要があるが、コロナウイルスはインフルエンザとは異なり、ウイルスが複製時のミスを修復する校正機能を備えている。このためインフルエンザほど速く変異はしないと考えられている。これまでに有効性が証明されたワクチンは、必要に応じて容易に修正することが可能だと、医学誌BMJは16日に伝えた。

原題:
Why the U.K.’s Mutated Coronavirus Is Fanning Worries: QuickTake(抜粋)

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