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「エール」で注目、日本コロムビアへの社名変更を-物言う株主が提案

  • RMBキャピタルが音楽配信のフェイスに株主総会で提案を検討
  • RMBは配当増額や自社株買い実施も要求、1日付で取締役会に書簡

米アクティビストファンドのRMBキャピタルは、音楽・映像配信などを手掛けるフェイスに対し、本体より子会社の方が有名だとして「日本コロムビアホールディングス」などに社名変更するよう、来年6月にも開催予定の定時株主総会で提案することを検討している。

  日本コロムビアは日本最古のレコード会社として知られ、前作のNHK連続テレビ小説「エール」主人公のモデルとなった古関裕而氏が専属作曲家だったことなどで再び注目を浴びている。フェイスは経営不振が続いていた同社株の一部を米投資ファンドのリップルウッド・ホールディングスから取得、株式公開買い付け(TOB)などを経て2017年に完全子会社化した。

  フェイスの大株主でもあるRMBの細水政和ポートフォリオマネジャーはブルームバーグの取材に対し「実態として収益を日本コロムビアに頼っているのが現状。戦中戦後の特集番組はここの音源がなければ作れないと言われており、貴重な過去の資産を生かす事業戦略に切り替える意思表明をしてほしい」と意図を説明する。

  フェイスの20年4-9月期(上期)の連結営業利益は5億5200万円で、日本コロムビアが中心のレーベル事業が6億6000万円を稼ぐ一方、本社主導のコンテンツ事業は2億8400万円の営業赤字で、本業の損失を子会社の利益で穴埋めする構図となっている。

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敗戦直後にヒットした「リンゴの唄」で知られる並木路子氏(2000年)

Photographer: Kyodo News/AP Images

  細水氏は「赤字体質の日本コロムビアを経営改善したのはフェイスの功績」と評価した上で、ユニバーサル・ミュージック・グループが米ミュージシャン、ボブ・ディラン氏の全楽曲の所有権を計2億ドル(約207億円)超で取得するなど大企業による知的財産(IP)囲い込みが顕著になっているとし「新規事業に手を出すより、既存音源のデジタル化や音源ライブラリーの利便性向上など、IP事業の収益力強化に投資してほしい」と注文を付けた。

現在の3倍の株価水準を主張

  また、RMBは1日付でフェイス取締役会に対し、早急な株主還元策を実施するよう促す書簡を送付した。ブルームバーグが入手した文書によると、フェイスのネット現預金・有価証券の合計が時価総額を4割以上、上回るなど「株価の健全な評価が全く行われていない」と懸念を表明。会社計画の年間配当10円に対し同30円の配当と、最大15億円規模の自社株買いを求めている。

  細水氏は「日本コロムビアのIPの価値を考えると株価は今の3倍あってよく、不当な低評価だ」と主張する。「軍艦」(通称軍艦マーチ)などの軍歌や敗戦直後にヒットした「リンゴの唄」などの当時の音源を保有しているという。細水氏は、フェイス側が株主還元策に熱心に取り組まなかった場合、社名変更と合わせて増配や自社株買いの株主提案も検討すると述べた。RMBはフェイス株の10.71 %を保有する大株主。

  フェイスの広報担当者に電子メールでコメントを求めたが、回答は得られていない。

  商号変更は株主総会の議決事項だが、3分の2以上の賛成が必要な特別決議に当たる。可決のハードルが高いこともあり、株主から提案されるのは珍しい。過去には野村ホールディングスの個人株主から野菜ホールディングスに商号変更を求める株主提案がされたが、上程はされなかった。

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