, コンテンツにスキップする

あわや大惨事の教訓、米国債市場に機能改革の機運-カギは中央清算

  • パウエル議長、恒久的なFRBのプレゼンス望まず-米国債市場
  • 米国債発行残高、10年で10兆ドル膨らむと米議会予算局予想

1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら。

世界経済の中核で21兆ドル(約2170兆円)近い発行残高を持つ米国債市場に、改革の波が押し寄せている。3月に流動性危機の瀬戸際に追い詰められ、米連邦準備制度理事会(FRB)は前例のない規模とスピードで助け船を出さざるを得なかった。こうした事態の再発を防ぐために大規模な中央清算機関を設立する構想が持ち上がり、16日のパウエル議長の発言でその可能性があらためて注目された。

  3月の当局対応はヘッジファンドのレバレッジ取引を助けたとの批判もあった。会員企業が提供する資本を後ろ盾とした、米国債取引の清算をほぼ一手に引き受ける中央清算機関があれば、そうした極端な行動は不要だったかもしれない。米国債の中央清算機関は現在、証券取引清算機関(FICC)のみで、全体の5分の1程度しか手がけていない。清算と決済手法がばらばらで統一されていない米国債市場は、不透明でリスクの把握が難しいと広く懸念されている。

  スタンフォード大学のダレル・ダフィー教授(金融学)は、「中央清算は米国債市場の機能にとって極めて有益な改革だ」と指摘。流動性需要はすでにディーラーの手に負える規模ではなく、めったに起きない極端な事象でも現状のままではもっと頻繁に起こり得るだろうと述べた。米議会予算局(CBO)は向こう10年間に米国債の発行残高が約10兆ドル膨らむと予想している。

Growing debt has boosted focus on need for structural fix

米国債発行残高の推移

出所:米財務省

  米国では株式やデリバティブ(金融派生商品)はすべて、一括で処理され取引完了が保証されるが、住宅ローン金利や世界の企業および政府の借り入れコストにまで影響が及ぶ米国債市場にはこの機能がない。FRBではこれまで、クオールズ副議長やブレイナード理事が解決策の選択肢として、清算システムの改革を挙げている。

  クオールズ副議長は10月、ストレスのかかる期間とそうでない期間の両方において、米国債市場の機能を改善することには確実な利点があると指摘。多くのアイデアがある中で、中央清算機関は「非常に価値ある」選択肢だと述べた。ブレイナード理事も11月、「中央清算の利用拡大」を改革案として検討するべきだと語った。

  パウエル議長は16日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でこの問題に言及。FRBとしては慎重に考えていく必要があるとした上で、「多くのリスクから守る中央清算というアングルが考えられる。まだ結論は出ていない。現時点で多くの可能性が検討されている」と説明。FRBが市場に恒久的な役割を持つことは解決策ではないと考えていると述べた。

原題:Near-Disaster in U.S. Treasuries Lights a Fresh Fire for Reform(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE