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海外投資家は21年日本株再評価を予想、キーワードは「森より木」

更新日時
  • バブル崩壊後に日本を離れた欧米年金が戻ってきた-仏コムジェスト
  • 参入障壁と独自のビジネスモデルを持つ銘柄に焦点-JPモルガン

海外有力投資家は2021年に日本株に対する外国人の評価が再び高まるだろうと予想している。海外勢による日本株の大幅な売り越しは小休止となり、「森より木をみる」銘柄選別の強化を通じて日本株の押し上げ役を果たす可能性がある。

Japan’s Topix Set for Lowest Close Since August on Europe Woes

海外勢は日本株を見直しか

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  新型コロナウイルスワクチン登場による世界経済の回復期待と米国など最高値が相次ぐ海外市場に比べた出遅れぶりが重なり、外国人投資家の日本株に対する慎重姿勢にやや変化の兆しが見え始めている。海外勢は11月に日本株を現物・先物合計で約3兆1000億円買い越し、日経平均株価が29年ぶり高値まで上昇する原動力となった。

  フランスのコムジェスト・アセットマネジメントのポートフォリオ・マネジャー、リチャード・ケイ氏は「1980年代に投資し、バブル崩壊後に痛い目にあって日本株を離れた欧米の年金基金の多くが戻ってきた」と語る。米国など最高値が相次ぐ海外市場に比べて日本は影が薄かったが、「日経平均が30年前のピークレベルに向かっているという印象は、今や日本を非常にエキサイティングにしている」と解説する。

29年ぶり高値まで上昇

3万円も視野

  TOPIXの1年先の株価収益率(PER)が18倍なのに対し、米S&P500種株価指数は22倍で取引されている。コムジェスト・グロース・ジャパン・ファンドを運用しているケイ氏は、21年の日本企業は米国企業よりも大きな利益成長が見込まれると予想。これから海外からの資金流入に国内勢の買いも重なることで、日経平均は今後半年間で3万円水準が可能だとみる。

  みずほ証券によると、海外勢はアベノミクスが始まった13-14年に現物・先物合計で20兆円を買い越したが、18年には13兆円を売り越すなど日本株に対する一時の期待感は後退した。海外勢は年初から12月2週まで現物・先物合計で日本株を約6兆4000億円売り越しており、ことしは2年ぶりの売り越しとなる可能性が高まっている。

外国人は日本株を敬遠傾向

海外投資家は15年以降に20兆円超を売り越す

出所:みずほ証券、東証

  もっとも、こうした不人気ぶりは、海外勢の日本株ポジションが軽いことも意味する。ゴールドマン・サックス証券によると、海外勢は11月中旬時点で13年のアベノミクス開始時より日本株を大幅な「アンダーウエート」とした状態。海外勢はシクリカル・バリューセクターをアンダーウエートしている傾向があるため、世界的な景気回復期待がある中で21年は景気敏感株の占める割合が高い日本株に海外資金の流入が増えると同証では予想する。

  「その国の『経済成長』と『株式市場の魅力度』に関して、多くの投資家は混乱している」と話すのは、JPモルガン・アセット・マネジメントの投資スペシャリスト、アレクサンダー・トレベス氏だ。日本の経済成長率が低いために日本株は魅力がないと一般的に勘違いされがちなため、日本株には見逃された価格形成の機会があるという。

銘柄選別にチャンス

  トレベス氏は、「日本はセルサイドとバイサイドが十分にカバーする銘柄が海外に比べて少ない覆い隠された市場。多くのグローバル投資家が投資機会を見落としている」と主張。実際、好成績を挙げている同社の日本株ファンドは、参入障壁があって長期の成長が見込まれる独自のビジネスモデルを持つ会社に「強く焦点を合わせている」と語る。

  国全体では人口減少で低成長とみられがちな日本でも、全体ではなく有望な銘柄を選別する手法でチャンスはあるとの見方にはコムジェストのケイ氏も同意する。かつて日本を去った外国人投資家は、日本株全体や株価指数に投資する傾向が強かったため、リターンを上げられなかったのではないかと、ケイ氏は振り返る。市場全体ではなく、「パフォーマンスが良い一部の銘柄を選別して買うことだ。実際、そうした投資家は増えている」と言う。

  一方、海外投資家の一部からは慎重な声も聞かれる。ブラックロックは、21年は他のアジア諸国の方が米バイデン政権の通商政策の予測可能性向上による恩恵が大きいほか、米ドル安が円高をもたらす可能性もあるとし、日本株の戦術的見通しを「アンダーウエート」とした。また、アバディーン・スタンダード・インベストメンツのアジア・パシフィック地域ヘッド、ヒュー・ヤング氏は「日本企業の見通しは慎重で、その一部は業績が完全に回復するには早くても来年後半になりそうだとみている」と語る。

(最終段落にブラックロックの見解を追加します)
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