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来年は1ドル=90円台も視野-6年連続でドル安円高か

  • 経常赤字と低金利の組み合わせはドル安に効くと三菱UFJ銀
  • 日本の対外投資フロー縮小で円安維持も困難に-JPモルガン

2021年のドル・円相場は、1ドル=100円の大台を下回る可能性がありそうだ。米国の経常赤字や連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和を背景にドル安が続き、日本の実質金利上昇などで円高も進みやすくなると市場関係者はみている。来年もドル安・円高なら、変動相場制移行後で最長の6年連続となる。

  三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、最大97円までの下落を想定し「ドル安要因7割、円高要因3割」との見方。経常赤字と低金利の組み合わせはドル安に非常に効きやすく、FRBの資産買い入れでマネタリーベースが過去最大規模に膨らむ中、量の観点からもドルが減価しやすいと指摘。物価の前年割れが続く日本ではデフレ圧力の高まりが実質金利の押し上げにつながり、「円の側にも上がる下地が着実にできている」とみる。

実質金利は一段のドル安・円高を示唆

  4-6月に08年の金融危機以降の最大を記録した米経常赤字は、7-9月でさらに拡大する見通しだ。シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストは、大規模な金融緩和と財政出動の結果、米経常赤字のファイナンス環境が悪化しており「大きな流れはドル安」と指摘。「100円を少し割れるくらいがメインシナリオ」だが、95円程度までのドル安・円高は想定できるという。

  円高のブレーキとなってきた日本からの対外投資フローが世界的な低金利で鈍化するとの見方もある。JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長によると、日米実質金利差と日本の10年金利、円の名目実効レートを用いたモデルは、来年の対外投資が過去1年間の20兆円程度から半分程度に縮小する見通しを示唆している。

  今年のドル・円は5年連続で下落となる可能性が高い。3月のコロナショックで101円19銭まで急落後、いったん112円近くまで持ち直したが、ドル安傾向が強まる中で徐々に103円前後まで切り下げ、年初からの下落率は17日時点で5%となっている。

円高阻止、「政策的に難しい」

  JPモルガンはドル・円が来年央に100円を割り込み、10-12月に98円までドル安・円高が進むと見込む。佐々木氏は、90円台まで円高が進んでも日本政府が為替介入に動く可能性は低く、世界的な金融緩和・低金利環境において金融政策面も含め円高阻止は「政策的に難しい」と話す。 

  三菱UFJ銀の内田氏は、円は経済政策「アベノミクス」や日本銀行の「バズーカ緩和」で人為的に安くされた部分があり、「放っておけば反発していく方向の圧力が加わりやすい」と指摘。「日銀に円高を止めるような効果的な術は限られるだろうし、逆にマイナス金利を引き下げられるのかと日銀のスタンスを値踏みするような思惑もあり得る」とみている。

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