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ピコ太郎「PPAP」支えた名器の生みの親、ローランドが再上場

更新日時
  • 初値は2954円と公開価格を下回るー今年2番目に大きい上場案件
  • ローランドは過大評価されているとアナリストのクマラシリ氏

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世界中で人気を博したピコ太郎さんの楽曲「ペンパイナッポー・アッポーペン(PPAP)」の独特のサウンドには、リズムマシン「TR-808」が一役買っていた。この名器を生み出したローランドが16日、東京証券取引所1部に再び上場した。船出しやすい市場環境の中で関係者の関心は強いが、初値は公開価格を下回った。

  ローランド株は2954円で取引が始まり、公開価格3100円を下回った。初値での時価総額は808億円と今年の新規上場で9月の雪国まいたけ(837億円)に次ぐ。終値は2920円。ローランドは業績低迷で2014年にMBO(経営陣による買収)で非上場化しており、再建に関与した米ファンドのタイヨウ・パシフィック・パートナーズが1171万株、発行済み株式の43%を再上場に合わせて売り出した。公募はしなかった。

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1980年にリリースされたRoland TR-808 リズム・コンポーザー

  新型コロナウイルスは世界の楽器市場に影響を与えた。各国のロックダウン(都市封鎖)は実店舗の販売を直撃して米最大の楽器小売店ギター・センターは11月に破綻した。これに対して電子楽器のローランドはオンライン販売が好調で、今期(20年12月期)営業利益予想は前期比31%増の68億8000万円。日経平均株価は29年ぶり高値にあり、相場環境も悪くない。

  業績が好調な中でライトストリームリサーチのアナリスト、オシャディ・クマラシリ氏はアナリスト分析情報サイト「スマートカルマ」のリポートにローランドについて「過去6年間で事態を好転させた」と記した。評価額は高騰しており、上場により成功の一部を手に入れることは「タイヨウにとって理にかなっている」としている。同時にローランドは過大評価されているとも指摘した。公開価格自体も仮条件の下限に近い方で決まっていた。

業績

  ローランドは1972年、電子音楽のパイオニアで音楽を楽器とコンピューターの間で共有できるデータとして扱うMIDI技術の開発でテクニカル・グラミー賞を受賞した梯(かけはし)郁太郎氏が設立した。リズムマシンやシンセサイザーは1980年代に音楽界に浸透して89年に初めて株式を上場した。

  80年発売のリズムマシン「TR-808」はローランドのサイトによると、「ヤオヤ」の愛称で呼ばれて映画「808」がつくられ、世界的に大ヒットしたピコ太郎さんのPPAPでは、制作にカウベルのサウンドが使われた。

  売上高は中国での需要増を追い風に過去3年間で年率7.6%で成長し、前期(19年12月期)は632億円だった。

Upbeat Sales

Roland’s sales have grown over the past three years, especially in China

Source: Company data

  新型コロナは楽器の実店舗販売に打撃を与えている一方、自宅で自粛中の人々の趣味の時間が増えてオンラインでの売り上げは増加している。世界最大のギターメーカーであるフェンダーは2020年は記録的な売り上げを達成する見込みだとビジネス・インサイダーに語っている。

  ローランドはコロナの影響で中国工場などで一時操業が停止したが、新たな巣ごもり需要が見いだされたため電子楽器のニーズが生まれた。オンラインでも販売可能なコンパクトタイプの電子ピアノ市場が世界的に拡大している。11月に発表した業績見通し資料にローランドは、工場は100%稼働しているが大幅な需要超過で全ての受注残の解消には至らないと考えていると記した。

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2020年4月にリリースされたRoland Jupiter-X シンセサイザー

  東海東京調査センターの萩原幸一朗アナリストはローランドについて、電子管楽器エアロフォンなど独自製品を展開して「面白いことをやっている」と評価する。ヤマハの看板製品アコースティックピアノは現物を弾いて購入する傾向が強いが、ローランドはネット販売比率が高くコロナ禍でも好調とみている。欧米での再行動制限で「需要は継続しそうだ」と指摘し、同時に販売低迷時の値下げ合戦がリスクと付け加えた。

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