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ECB、財政当局の支援役に徹するのか-インフレへの影響力低下

  • 23年のインフレ率予測1.4%-「あまりに低い予測に驚き」との声
  • 「金融政策にはもはや本物の効果はなく」、中銀は財政政策を手助け

欧州中央銀行(ECB)は先週、追加の金融緩和措置を打ち出したが、それでも3年後のインフレ率が同中銀の目指す2%弱の水準には届かない見通しだと認めた。

  ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の5000億ユーロ(約63兆円)拡大と9カ月延長、市中銀行への長期資金供給オペの強化を発表したが、これは市場の期待に比べ控えめな措置と受け取られた。さらに、同時に発表した2023年のインフレ率予測は1.4%と、3年後予想としてECB史上最低だった。

  歴史的な景気低迷の中での中銀の目標の一つは、借り入れコストを低く抑えることで政府の支出余力を後押しすることだと認めことになる。しかし、今後数カ月に追加の金融緩和を示唆しなければ、ラガルド総裁は物価安定という中銀の使命を今よりもさらに財政政策に頼ることになる。

ECB、パンデミック緊急購入拡大-必ずしも全額使わないと総裁

  ソシエテ・ジェネラルのシニアエコノミスト、アナトリ・アネンコフ氏(ロンドン在勤)は「インフレ目標を設定する中銀は予測期間の最後には目標付近を見込んでいなければならない。そうでないのは、政策がうまくいっていないということだ」と指摘。「あまりに低い予測に驚きだ」と述べた。

"Disappointingly Low"

The ECB projects inflation will be far from its aim through 2023

Source: Eurostat, ECB

  ECBはインフレ率を「中期的に2%弱」とすることを物価安定の定義としてきたが、世界的な金融危機後は低インフレに悩まされここ10年で持続的に目標を達成したことはない。

  金融政策の力だけでインフレ率を目標水準に回復させるのは超特大の緩和拡大が必要になるだろうが、政策当局者やエコノミストが既に量的緩和(QE)などが効果を失いつつあると指摘する中で当局がより大きな緩和を約束しないのも理解できる。

日本化

  ABNアムロ銀行の金融市場および調査責任者、ニック・コーニス氏(アムステルダム在勤)は「金融政策にはもはや本物の効果はなく、中銀は財政政策がその役割を果たすのを手助けしようとしている」とコメントした。

  そうなると、ECBは政府の借り入れコストを低く抑えるという補助的役割に徹さざるを得ない。これは日本銀行が行うイールドカーブコントロールに類似したものだ。

  ユーロ圏の金融当局者はこれを否定しているが、PIMCOヨーロッパの欧州金利担当シニアポートフォリオマネジャー、コンスタンティン・ビート氏(ミュンヘン在勤)は、「政策金利より資産購入に頼るということは、ECBが日銀と同様に事実上、選挙で選ばれ財政政策に責任を持つ政府当局者の下に金融政策を置くということだ」と話した。

原題:ECB’s Grasp on Inflation Is Weakening With the Pandemic Slump(抜粋)

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