中国人民元、1993年以来の高値見込む声も-本土への資金流入衰えず
Bloomberg News-
国外からの資金「殺到」で来年末までに6元を付ける可能性-シティ
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人民銀は板挟み-過度の元高は景気損ねる恐れ、金利高め望む事情も

中国本土の債券や株式への資金流入ペースが衰えず、米銀シティグループのエコノミストは来年末までに人民元が約30年ぶりの高値を付ける可能性があると予想している。
シティの中国担当チーフエコノミスト、劉利剛氏は元建て資産の利回りが世界的に見てかなり高くなり、国外からの資金「殺到」で元相場は来年末までに1ドル=6元と10%上昇、あるいはそれ以上の値上がりもあり得ると見込んでいる。公定レートと市場レートの一本化で急落する直前の1993年終盤以降、元がこの水準に達したことはない。
中国経済が新型コロナウイルス禍から持ち直していることを示すデータが相次ぐ中で、人民元は5月下旬から上昇基調にある。公式データによると、国外のファンドは今年、本土の債券や株式の保有を30%余り増やしている。指数への組み入れや厚めの金利プレミアムが資金流入を促している。中国当局は元安を見込む取引のコストを下げたり、資本流出制限を緩めたりしているが、効果は乏しい。

中国人民銀行(中央銀行)は政策面で板挟み状態にある。人民元が高過ぎると外需頼みの景気回復を支える取り組みが損なわれる恐れがあり、元高ペースを緩めるためにイールドプレミアムを縮小させる必要がある。一方、これまで講じてきた刺激策の影響でレバレッジが急速に積み上がり、中国の債務水準が過去最高になっていることを示す指標も出ており、金利は高めにしておきたい事情もある。
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シティの劉氏は「中国が来年直面する問題は大規模で衰えを知らない資本流入になるだろう」と指摘。「元高が中国のマクロ経済にとって主な脅威になる」と話す。
人民元は5月下旬の年初来安値から約10%上げており、アジアでは韓国ウォンに次ぐ大きな上昇だ。1ドル=6元に前回接近したのはホットマネーが流入した14年1月。
クレディ・アグリコルCIBの新興国市場担当シニアストラテジスト、ダリウス・コワルツィク氏は人民銀が資金流出制限をさらに緩和し、毎営業日に設定する中心レートで元安方向に誘導する可能性があると指摘。21年末の元相場を6.35元と予想した。
原題:Rapid China Inflows Spur Call for Strongest Yuan Since 1993 (1)(抜粋)