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在宅勤務ブームで金融ハブに衰退のリスク-政治的混乱もマイナス要因

  • ニューヨークやロンドン、香港の地位が圧力にさらされている
  • ゴールドマンやモーリス、重要人材が近くNYからフロリダに移動も

世界の金融業界を率いる企業が長年本社を置いてきたハブをあらためて見ると、高いコストや政治的混乱がますます目立つようになっている。

  新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅勤務ブームを背景に、資金を調達し利益を稼ぐ場所を示す世界地図が塗り替えられる恐れがある。ニューヨークではゴールドマン・サックス・グループモーリスの重要な人材が近くフロリダに移る可能性があるが、これはニューヨークの高い税率と費用を浮き彫りにする。

社員移住、モーリス氏は「OK」-移住先のオフィス開設・拡張も検討

City of London Firms Quietly Start to Rent Large Offices Again

ロンドンのカナリーワーフ

  一方、ロンドンでは英国の欧州連合(EU)離脱で資産や優秀な人材の流出が進んでいる。香港も中国政府の締め付けで長期にわたる魅力が損なわれつつある。

  世界金融センター指数をまとめるシンクタンク、Z/Yenグループの共同創業者マイケル・マイネリ氏は「金融ハブはかつてないほど脅威にさらされている」とし、「最も厳しい状況にあるのは香港だ。ニューヨークは経済の多様性が恐らくロンドンより大きい」と指摘した。ただ、ニューヨークの経済は内向きで、ロンドンはより国際的な傾向があると分析した。

City Living

Global financial centers have seen shift in rankings over past decade

Source: Z/Yen Global Financial Centres Index

Note: Data is from Z/Yen's September reports. Rankings are based on factors including business environment, human capital, infrastructure, financial sector development and reputation.

  ニューヨークが20世紀半ばに世界で最も活気のある海港の所在地だったように大都市は変革を繰り返しながら規模を維持するが、衰退した大都市もある。ルネッサンスだけでなく現代の銀行業の発祥の地でもあるイタリアのフィレンツェはその好例だ。最近の兆候は、金融関連の雇用と専門知識が多くの場所に分散していく状況の加速を示している。フルタイムのオフィス勤務がコロナ禍以前の遺物になる可能性が出てきたことがこれを増幅している。

Goldman Sachs Headquarters Ahead Of Earnings Figures

ニューヨークのゴールドマン・サックス本社

写真家:Jeenah Moon / Bloomberg

  一方、バークレイズが今月実施した調査によると、企業側は在宅勤務が週平均2回になると見込んでいる。「在宅勤務改革」がオフィス需要の「10-20%の構造的縮小」につながり、英国は最も大きな影響を受ける見込みだという。

  コンサルティング会社EYは先月のリポートで、EU離脱を巡る不透明感やコロナ禍の影響で、向こう1年間に英国での事業設立または拡大を予定している大手金融会社は10%にとどまると指摘した。4月時点の45%から低下しており、英国にとって悪い兆候だ。金融業界は英国内で100万人超を雇用し、経済全体の約7%、歳入の1割強を占める。

Views of HSBC Headquarters and Branches As Bank Announces Earnings

香港の中環(セントラル)地区。

写真家:ロイ・リュー/ブルームバーグ

  ただ、今のところロンドンや他の世界的な金融ハブが姿を消すと予想する向きはほとんどない。優秀な人材、リソース、サービスというこうした都市が持つ組み合わせに対抗するのは難しいことを示すものだ。

  ロンドンのシティーに40年近く勤務し、国際資本市場協会(ICMA)に助言するティム・スキート氏は「物理的な近さや個人同士の接触は重要であるため、まだハブは必要だろう」とし、「知力と資金力の結集は、われわれが携わっている高度で人が主役のビジネスに有用だ」と語った。

原題:
Finance Capitals Imperiled by Threats Beyond Working From Home(抜粋)

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