シティ9億ドル誤送金、失態の裏に「承認プロセス」-担当者証言
Chris Dolmetsch、Katherine Doherty、Jennifer Surane-
シティは戻らない5億ドル余りを回収するためNYの連邦地裁に提訴
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シティでは電信送金の点検と実行の過程で担当者3人が関与する必要


米銀シティグループ傘下のシティバンクは、米化粧品メーカー、レブロン向けの融資に関係する事務を代行していたが、元本の残り全額を債権者の一部に誤って送金するミスが発生し、資金の返還を求める訴訟を起こした。
誤送金した9億ドル(約939億円)のうち資産運用会社から戻らない5億ドル余りの回収を目指す訴訟の手続きが、マンハッタンのニューヨーク州南部地区連邦地裁で今週始まり、担当者の証言から大失態の詳細が明らかになった。
失敗の背景の中心には「シックスアイズ」承認プロセスと呼ばれる銀行内部のシステムがあった。6つの目を意味するシックスアイズのプロトコル(手続き)では、電信送金の点検と実行の過程で、3人の担当者の関与が義務付けられている。
「メーカー」役の担当者がシティの「フレックスキューブ」融資処理プログラムに支払い情報を手作業で入力する最初のステップは、テクノロジー企業ウィプロにほぼ依存する。メーカーの仕事を「チェッカー」が点検する2番目のステップにも通常ウィプロのスタッフが関与する。
シティのスタッフチームは、3番目のステップで支払いの最終チェックを行う「アプルーバー」の役割を果たす。レブロンに関係する誤送金のアプルーバーは、シティのグローバル融資オペレーショングループのシニアマネジャー、ビニー・フラッタ氏だった。
フラッタ氏が裁判所に提出した申告書によれば、フレックスキューブシステムを通じて1日に数百件の電信取引の処理が可能で、メーカー役の担当者がオプションを無効にしない限り、電信送金の実行がデフォルトモードとなっている。レブロン関連の支払いの一部はボックスにチェックマークが入っていたが、全てに入っていたわけではなかった。
当初は誤送金が技術的障害によるものと考えていた同氏も、「時間の経過につれて技術的問題ではなく人為的ミスが原因だと受け入れた」という。
シティバンクは、レブロンの債権者のために資産管理を行うブリゲード・キャピタル・マネジメントとHPSインベストメント・パートナーズ、シンフォニー・アセット・マネジメントを含む10社を相手取り訴訟を起こした。
原題:Citi Trial Shows Chain of Gaffes Leading to $900 Million Blunder、Citi Official Says Creditors Blew Bank Off on $900 Million Error(抜粋)