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話題すらご法度、「岩盤」崩せるか-3メガ持ち合い株削減に減速懸念

  • 過去10年で3兆6000億円の株式を売却、今後も継続的な売却が重要
  • 銀行による株売却に拒否反応示す企業もあり一方的な売却難しいとも

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3メガバンクの政策保有株の削減ペースはいずれ減速する。このような見方がアナリストのみならず当事者である銀行関係者の間でもささやかれている。

  その大きな理由が、銀行による株式売却に拒否反応を示す「岩盤」と呼ばれる企業の存在だ。3メガは保有株削減を重要な経営課題の一つとしており、顧客との関係を維持しながら両立させるという難しい判断を迫られる。

  各グループは、政策保有株と呼ばれる取引先企業との持ち合い株の解消に向け積極的に取り組んできた。その額は過去10年で簿価ベースでは3兆6000億円に上るが、3月末時点で依然4兆6000億円相当の政策保有株を抱える。今後、売却が着実に進まなければ、株価変動に伴う損失リスクも抱えたままとなる。

依然高水準の政策保有株

  持ち合い株はコーポレートガバナンス(企業統治)の観点からも批判されており、銀行による削減は市場関係者などから評価された。また、株式売却は多額の売却益をもたらし、低金利下で収益の低迷に苦しむ中で利益の一定の下支えにもなった。

  「政策保有株の売却は次期中期経営計画においても継続的に取り組む重点課題と認識している」。三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長は11月の投資家向け説明会で強調した。同社は過去5年間で取得原価ベースで7330億円の保有株を売却した。同期間の売却益は5450億円に上る。三井住友フィナンシャルグループとみずほフィナンシャルグループも削減目標をそれぞれ設定している。

岩盤が障害に

  UBPインベストメンツのファンドマネジャー、ズヘール・カーン氏は、銀行による持ち合い株の削減はかなり進んでいるとした上で、「コーポレートガバナンスの観点から、引き続き株式の売却を続けていくことが重要だ」と指摘する。

  ただ、この先、各グループの削減努力に岩盤の存在が大きな障害となりそうだ。複数の銀行の役員は、これまでは売却に応じてくれやすい企業の株から削減してきており、現在残っているのは売却が難しいものが多いと証言する。

  では、岩盤とは具体的にどの銘柄を指すのか。銀行関係者は一様に企業名を挙げることは拒否したが、有価証券報告書で「特定投資株式」として開示されている銘柄には3メガに共通するものも多い。各グループが近年、積極的に削減してきた中でも大きな保有額が計上されている。

3メガが保有する株式の上位銘柄

出所:会社資料

注:3月末時点、退職給付信託として保有するみなし保有株は除く。

  2018年に改定された東京証券取引所と金融庁によるコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)では、政策保有株削減に当たり、株主企業から売却の意向を示された発行体企業は取引の縮減を示唆することなどにより、売却を妨げるべきではないと明記されている。

  ただ、ある銀行の役員は、取引先企業によっては、持ち合い株削減という話題自体がタブー視されており、経営トップの怒りを買う恐れがあるため、株売却の話を持ち出すことさえできないと打ち明ける。

MUFGの保有銘柄上位

出所;会社資料

注:3月末時点、単位は10億円。退職給付信託として保有するみなし保有株は除く。

  コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コード(機関投資家向け行動指針)の認知度が広がり、取引先企業自身も持ち合い株について投資家などに説明責任を負うようになった。取引銀行による株の売却についての理解は以前より広まっているという。ただ、持ち合い株解消は、総論賛成だが自社についてはやめてほしいというのが取引先企業の本音だと、別の銀行役員は語る。

  JPモルガン証券の西原里江アナリストは「事業会社の方で進められない理由がある場合には、一方的に売却することは難しい」と銀行側の立場を指摘。「メガバンク全体で見て今後も政策保有株の削減は進むと思うが、岩盤の存在からペースは減速していく」との見方を示した。

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