国際金融都市へ優遇税制、与党が来年度税制改正大綱を決定
占部絵美、延広絵美-
海外金融人材誘致に向け所得税、法人税、相続税で優遇措置
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固定資産税は来年度据え置き、脱炭素やデジタル投資を促す税額控除
自民・公明両党は10日、2021年度の与党税制改正大綱を決定した。国際金融都市の実現に向けて海外の事業者・人材を呼び込むための優遇措置やウィズコロナ・ポストコロナの経済再生を目指した税制見直しを盛り込んだ。
国際金融都市関連では、ファンドマネジャーが保有するファンド持ち分の値上がり益に課す所得税について、利益配分に経済合理性がある場合は、所得税法上の区分を最大55%の総合課税から一律20%の金融所得課税とすることを明確化した。
また、非上場の投資運用業者の法人課税について、役員への業績連動給与は算定方法や業績などを金融庁ウェブサイトに開示することを要件に損金算入を認める。日本での居住期間にかかわらず、外国人の海外財産は相続税の対象外とする。
コロナ対応では、固定資産税は地価上昇で課税額が増える場合に来年度に限り今年度と同額に据え置く。ポストコロナの経済構造の転換を促すため、脱炭素とデジタル投資に関する税額控除について、法人税額の20%を上限に認める。
自民党税制調査会の甘利明会長は記者会見で、菅内閣の掲げる脱炭素やデジタル化、新型コロナ感染症への対応という「課題の解決に向かって誘導していく税制改正ができた」と述べた。
来年度は税制改正により、国税で500億-600億円、地方税で40億円の減税につながる見込みと説明。その上で、成長なくして財政再建なしとの基本理念に立ち返り、「財政再建のプランが一刻も早く立つような経済基盤を敷いていく」と語った。
主な税制改正 |
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