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追加対策効果に市場は懐疑的、GDP3%超押し上げの予想高過ぎか

更新日時

追加経済対策が実質国内総生産(GDP)を3.6%程度押し上げるとの政府の見方にエコノミストらは懐疑的だ。財政で景気を支えることで民間需要を喚起し、経済の好循環につなげるという政府の筋書き通りにはいかないとみている。

  8日に決定した追加経済対策の事業規模は73.6兆円。内閣府は経済効果の表れる具体的な時期を示していないものの、グリーン基金のような複数年にわたって効果が出る施策を除き、大部分は2021年度末までに表れるとみている。今回試算された経済効果は、財政支援で誘発される民間投資が多く含まれており、20年度の1次補正時の3.3%程度、2次補正時の2.0%程度に比べて大きい。

  内閣府によれば、金額ベースで約20.1兆円に相当する経済効果のうち、16.5兆円は政府支出から、残りは民間と地方自治体の支出から生じる見通し。 

実質GDP換算の経済効果

出所:内閣府試算

 

  

  SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、「給付金のバラマキではなく、補助金で企業や家計に行動を促す政策は評価できる」としながらも、「短期的な押し上げ効果は大きくない。21年度の実質GDP押し上げ効果は楽観的にみても1%に届かないのではないか」と予測した。

  今回の追加経済対策では、デジタル改革やグリーン社会の実現を柱とする事業規模51.7兆円の「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」が全体の約7割を占める。脱炭素に向けた環境技術開発を支援する2兆円の基金や、イノベーションを促進する10兆円の大学ファンドの創設など、中長期の成長を促す施策が盛り込まれた。

経済対策で実質GDPを3.6%程度押し上げ-事業規模は73.6兆円

  野村証券の美和卓チーフエコノミストは、「需給ギャップを埋めるだけではなく、改革の旗印に沿った方向に資金を付けにいった」点を評価する。一方、ポストコロナの成長戦略にひも付けられている政策は「複数年度にわたり、需要が出てくるのは5-10年先」とし、「すぐに効果が出てくるようにはなっていない」と指摘した。 

  IHSマークイットの田口はるみ主席エコノミストは、経済構造が本当に転換していくなら「長期的な戦略はプラス」と言う。もっとも、過去2回の大型補正の後で経済効果は「小さくなっている」と分析。経済活性化効果が出るのに時間がかかり、「一概にそのままこの数字の波及効果は期待できないのではないか」と語った。

ブルームバーグ・エコノミクスの増島雄樹シニアエコノミスト
  • 追加経済対策は景気下振れリスクを抑えて企業センチメントを支えるが、コロナ感染の状況次第で直接の経済効果は薄れる。21年度の実質GDP押し上げ効果は0.5ポイントと予測
  • 構造改革を促す財政支出(国・地方で約13.4兆円)は潜在成長率に長期的なプラス効果をもたらす可能性はあるが、短期的な押し上げ効果は乏しいだろう

  自民・公明両党は10日、経済対策を税制面で後押しする21年度の与党税制改正大綱を決定した。自民党税制調査会の甘利明会長は記者会見で、「菅内閣が掲げる幾つかの柱を裏打ちする、政策目的に誘導していく課題を与えられていた」と述べた。

(最終段落に自民・甘利税調会長のコメントを追加して更新しました)
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