ドル・円反落、米中懸念でリスク回避-ポンド下げ渋り、通商交渉注視
小宮弘子
更新日時
東京外国為替市場のドル・円相場は小幅反落。米国が新たな対中制裁を準備しているとの報道を受けて、リスク回避に伴う円買いが強まった。ポンドは英国と欧州連合(EU)の通商交渉を巡る不透明感から早朝に下落した後、協議の行方見極めで下げ渋りに転じた。
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市場関係者の見方
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジスト
- 米国が対中制裁準備とのニュースがあり、日本株も落ちてきたので、そのあたりがリスクオフ的な円高進行につながっている
- 先週末は楽観的な見方で米金利も株も上がったが、まだ持続的な感じではないし、米財政も実際にはまだあまり進んでいないところがあり、行き過ぎた分の調整が入っている
- ポンドは週末に交渉の進展がなく売られたが、今週末のEUサミットに向けて交渉は加速するだろう。コンセンサスは一部でも合意するとの見方で、ハードブレグジットは避けられるという面でポンドは底堅いとみるが、EUを抜けた後の英経済には不安もあり、1.35ドルを大きく抜けていくのは難しいだろう
クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長
- 米長期金利も下げており、ドル・円は基本的に104円前半中心ながらやや重くなっている
- 日本株も上値が重く、米追加経済対策期待やブレグジット交渉の行方を巡る不透明感が綱引きの状態
- ブレグジット交渉は土壇場合意の可能性があるが、その場合ドル売り・円売りでドル・円への影響は基本的にニュートラル。ただ、合意できなかった場合はリスクオフでクロス円(ドル以外の通貨の対円相場)の下落が大きくなる可能性に注意が必要
背景
- 米政府は香港立法会(議会)の民主派議員の資格剥奪を巡り、少なくとも十数人の中国当局者に新たな制裁を発動する準備を進めているとロイター通信が報道
- 先週末の米国市場では米追加経済対策期待の高まりから主要株価指数が過去最高値を更新し、米長期金利が上昇。一方、週明けアジア時間の米株価指数先物は下落し、米長期金利も低下。日本株は下落で終了、中国株も安い
- 英国とEUの通商交渉は6日に再開、双方は7日夕刻までの最終合意を目指している
- 独仏首脳は英EU交渉を巡り公平な競争条件の要求緩和で一致と英紙タイムズが報道
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