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米国債利回り急上昇、ドミノ効果引き起こす可能性-さまざまな資産で

  • 株式や新興市場通貨、デュレーションやクレジットの選択に影響
  • 米10年債利回り、1日に急上昇-3月の低水準の3倍に

11月後半に一服した米国債売りが再燃し、10年物米国債利回りは1%への歩みを再開した。他の市場にどのような影響を及ぼすかを投資家は熟考している。

  アジア時間2日は0.92%前後で推移しているが、米10年債利回りは株式や新興市場通貨、デュレーションやクレジットについての選択に影響を及ぼす。利回りが上昇している理由と最終的にどの水準に落ち着くかも重要だ。

  野村ホールディングスの金利ストラテジスト、アンドルー・タイスハースト氏(シドニー在勤)は「たやすく1%を試すだろう。債券利回りは世界のセンチメントが大きく改善していた際、一定のレンジ内で推移してきた。今は追いつこうとしている」と話した。

Benchmark Treasury yields head back toward 1%

  10年債利回りは1日、今年最大級の急上昇を演じた。米景気刺激策への期待の再燃が新型コロナウイルスワクチンを巡る楽観に加わった。利回りは3月の低水準から3倍になっており、 バンク・オブ・アメリカ(BofA)の先月の調査は投資家の73%がイールドカーブのスティープ化を予想していることを示した。

  他の資産への影響を探ってみよう。

急騰する株

  米国債利回り上昇によって勝ち組となるのが最も明らかな資産の1つは株式だろう。経済リフレの影響を受ける銘柄は特にそうだ。 MSCIオールカントリー・ワールド指数(ACWI)はすでに過去最高水準で取引されており、工業株や素材株などの景気循環株へのローテーションは先月加速した。

  モルガン・スタンレーのクロスアセットストラテジスト、アンドルー・シーツ氏は 「利回りが大きく上昇するほど、インフレ加速への期待が理由である可能性が高い」と指摘し、「利回りが上昇し、イールドカーブがスティープ化している時期は株式市場にとって最良の時期の1つだ」と述べた。

Global value shares biggest monthly gain since 2009 versus growth peers

  JPモルガン・アセット・マネジメントは米国債売りがどこまで進み得るかについて慎重だが、利回りが上昇すれば「株高がさらに進むというシナリオが最も可能性が高い」と、グローバルストラテジストのパトリック・ショウィッツ氏は述べた。バリュー株に上昇余地があると指摘した。

新興市場は安全

  米国債利回り上昇は伝統的に、新興市場の債券と通貨の売りを引き起こしてきたが、ストラテジストらによると、2021年はそうならない可能性がある。最近の利回り上昇は明らかに経済見通し改善に伴うもので、これは新興国の資産価格にもプラスだと、オーストラリア・ ニュージーランド銀行のアジア調査責任者クーン・ゴー氏が述べた。

  「米連邦準備制度は非常に緩和的な政策を当分の間維持すると予想され、現段階で新興市場が恐れるものは何もない」と説明した。

Indonesian bond yields slide as investors buy growth-sensitive assets

金にはもろ刃の剣

  金の見通しはやや不透明だ。ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、ソフィー・フイン氏によれば、10年物米国債利回り1%以上はリフレトレードの結果であり、そうした場合は通常、金や産金会社、商品は値上がりすると同氏は指摘。

  一方、利回りがさらに上昇すれば資金の逃避先としての需要が後退することで金相場にはマイナスとなるかもしれないと、シティグループのプライベートバンク部門でアジア投資戦略責任者を務めるケン・ペン氏は述べた。

  

Gold has tended to move inversely to yields thanks to the haven trade

クレジット

  株式と同様に、クレジット市場も米国債利回り上昇の恩恵を受けそうだ。

  景気刺激策がリスク選好を後押しし、投資家は期間長めの米社債を購入。残存10年以上の社債の米国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は2月以来の水準に縮小している。

  米国債利回り上昇がリフレ取引によるものである限り、信用スプレッドはタイトな状態が続くだろうとソシエテのフイン氏は述べた。ただ、米国債供給増見通しが理由である場合はマイナス要因になり得ると付け加えた。

連邦準備制度の反応

  いずれにせよ、米国債利回り上昇への連邦準備制度の対応に多くが懸かっている。資産購入プログラムを巡って現在進行中の議論や当局が景気加速を容認するとの見通しの中では特にそうだ。

  当局は毎月、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)合わせて1200億ドル(約12兆5000億円)前後相当を購入している。

  長期的な米国債利回り見通しやそれが他の資産に及ぼすドミノ効果は、金融当局の「コミュニケーションのやり方」に左右されるとみるのはシティのペン氏だ。「投資家がポジション構築にひどく無気力で利回り上昇は妨げられてきた。リセッション(景気後退)の時期にはそれで良かったが、妥当な回復モードにある今はそうはいかない」と同氏は述べた。

原題:
Treasury Yield Spike Risks Sparking Domino Effect Across Markets(抜粋)

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