アイフル債利率1%、投機的等級の固定利付社債で今年世界最低
森田理恵-
昨年に続く発行、最終需要は発行額150億円の約1.1倍-主幹事
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アイフルの利率なら高格付けの劣後債を選ぶとの声も
アイフルが2日、年限1.5年の社債の発行利率を1.00%に決めた。ブルームバーグのデータによると、債券格付けが投機的等級の固定利付社債としては今年の世界最低。
発行額は150億円。アイフルは調達した資金を12月に予定する昨年の前回債の償還に充てる。

アイフルのロゴ
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
今回債についてアイフルは日本格付研究所(JCR)から「BB+」の債券格付けを取得している。現時点で格付けが「BBB」格を下回るハイイールド債の国内発行はアイフルの前回債1例のみ。
アイフルは利息返還費用の減少で収益力が向上しており、前回債の発行後、格付投資情報センター(R&I)とJCRはともに格付けを1段階引き上げた。JCRでは投資適格である「BBB」格の一歩手前で、大和証券の松坂貴生シニアクレジットアナリストは、今後の焦点は「投資適格への復帰の可否ではなく、時期だ」との見方をしている。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中央銀行の流動性強化により、社債利回りは世界的に低下している。ブルームバーグ・バークレイズ指数によると、世界のハイイールド債の平均利回りは4.83%と、過去最低を更新した。
投資適格復帰を前提とするならアイフルの利率1%は魅力的に映る。ただ、主幹事によると発行額に対する最終需要は約1.1倍と、2倍を超えた前回債と比べて盛り上がりに欠けた。ある引受関係者は、高格付け企業による劣後債の発行が増える中、1%程度では投資家への訴求力がそれほど高くなくなっていると言う。
劣後債は債務不履行(デフォルト)時の弁済順位が低くリスクが高い分、利率も高くなる。最近ではイオンが当初10年の利率が1.74%、楽天が当初5年の利率が1.81%でそれぞれ起債した。いずれも債券格付けはアイフルより高い「BBB」格だ。
実際にある投資家は、ハイイールド債には運用規定上、投資できないと断った上で、仮に投資できたとしてもアイフルの利率水準であれば格付けがより高い銘柄の劣後債を選ぶだろうと話していた。
【購入投資家層(比率)】
中央 | 地方 |
---|---|
信託、投信投資顧問(90%) | 系統下部、諸法人(10%) |