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Photographer: Melissa Lyttle/Bloomberg
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アマゾンの新人3000ドルの賞与に怒り-コロナ禍の苦労には「七面鳥」

  • 6月になり配送が再び軌道に乗ると同社は一時的な昇給を打ち切り
  • 危険手当ともいえる一時的昇給を復活させる時期だと従業員は反発
Employees work inside an Amazon.com fulfillment center in Baltimore, Maryland.
Photographer: Melissa Lyttle/Bloomberg

米アマゾン・ドット・コムは、繁忙期のホリデーシーズンを乗り切る十分な人員を確保するため、採用時に最大3000ドル(約31万4000円)のボーナスを支給している。一方、既存の従業員らは、会社から感謝の印として感謝祭の七面鳥クーポンを最近受け取ったが、新人へのボーナスが彼らの反発を買った。

  アマゾンの従業員が集うソーシャルメディアのチャットルームでは、15ドルの七面鳥のバウチャーの写真をシェアし、20ドルか25ドルのクーポンをもらったと自慢するよう他の従業員に促す人もいれば、何ももらえなかったと悔しがる人もいた。

  従業員の不和をもたらす危険をいとわない同社の姿勢は、新たな現実を映し出す。

  全米の失業率が6.9%と、新型コロナウイルスの感染拡大前の2倍となったにもかかわらず、米国民の多くは再就職に消極的だ。求人サイトのインディード・ドット・コムによると、季節的求人の検索件数は前年比で25%減少した。一部が失業給付を引き続き受給していることも一因だが、感染の不安もある。

Operations At An Amazon.Com Inc. Fulfillment Center

メリーランド州ボルティモアのアマゾンの配送センターで働く従業員

Photographer: Melissa Lyttle/Bloomberg

  配送の遅れを回避するため、アマゾンは従業員がだぶつくことを覚悟で増員を決定。数週間前から採用時のボーナスを提示し始めた。金額は居住地によって異なり、カリフォルニア、イリノイ州の一部施設が3000ドル、メリーランド、マサチューセッツ州が2000ドル、米国内の他の多くの施設は1500ドルとなっている。

  米ペンシルベニア大学ウォートン校の人材センターのディレクターを務めるピーター・カペリ教授(経営学)は「過去にパートタイムでアルバイトを検討していたかもしれない人たちが今は感染リスクを考えている」と指摘。「失業者の多くは前職への復帰をなお期待し、短期の仕事に就くことがリスクに見合うかどうか思案している。失業率が高くても働き手を見つけるのが難しいのはそのためだ」と分析した。

  従業員の懸念に関するブルームバーグの取材にアマゾンは応じなかった。広報担当レイチェル・ライティ氏によると、同社は最低時給15ドルに加え、医療補助・退職手当、職業訓練やキャリアアップの機会を提供しているという。

  新型コロナ感染拡大に伴う注文の急増で混乱した配送を通常の軌道に戻し、不安な従業員の出社を促すため、同社は今年に入り時間当たり2ドルの一時的昇給と無制限の無給休暇を提示。円滑な業務遂行を維持するため25万人を新規採用した。

  だが6月になって配送が再び軌道に乗ると、同社は一時的な昇給を打ち切り、休暇の正当な理由の説明を従業員に求め始めた。

  その後全米で新型コロナの感染が再拡大し、危険手当ともいえる一時的昇給を復活させる時期だと多くの従業員が考えていた。新人がボーナスを受け取る一方、七面鳥のクーポンを渡されたことに腹を立てたのはその理由からだ。

  パンデミックの下で懸命に働き、アマゾンの株価とジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)の資産を過去最高水準に押し上げることに貢献した自分たちへの侮辱と受け止めた従業員もいた。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、世界一の資産家であるベゾス氏の純資産は年初来で670億ドル余り増え、1826億ドルに達した。

原題:
Amazon’s $3,000 Signing Bonuses Irk Workers Who Got $10 Coupons(抜粋)

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