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共産党支配を強める習氏-至る所で監督強化、資産家も例外なし

  • 習氏は資産家や香港民主派議員ら標的-共産党への長期的な脅威警戒
  • 安定が何より大事、それより重要なのは恐らく権力だけ-トリビアム

中国共産党の習近平総書記(国家主席)は、党への長期的な脅威と認識すれば極めて迅速に対処することができることをこの数週間で示した。それが主にテクノロジーや金融、香港で起きている。

  中国は2035年までに経済規模を2倍に拡大するとの目標を示してから、最も価値ある自国企業の一部に対し徹底した監督に乗り出した。フィンテック企業アント・グループによる350億ドル(約3兆6600億円)規模の新規株式公開(IPO)は突如中止となり、その直後にはテクノロジー時代の寵児(ちょうじ)となっていたテンセント・ホールディングス(騰訊)やアリババグループの抑え込みに向けた独占禁止規定の強化が公表された。

中国、ネット業界で独占的慣行の根絶目指す-独禁ルール公表

Chinese President Xi Jinping Attends Celebration of the 20th Anniversary of the Establishment of the Macao SAR

習近平国家主席

  また、習氏は中国統治下で最も民主的な機関だった香港立法会(議会)の民主派議員への締め付け強化にも動いた。これまでデフォルト(債務不履行)が珍しかった本土債券市場では、投資家がリスクに対してより大きな責任を持つよう迫られた。

  一連の措置は、2008年のような金融危機であれ、中東や東欧で起きたようなカラー革命であれ、日増しに強まる新たな資産家の力であれ、共産党の統治に対する脅威の拡大に歯止めをかけなければならないとの危機感が中国最高指導部で強まっていることを反映している。こうした措置の一部は中国経済のリスクを減らす上で有効だが、共産党が全ての権力をコントロールする必要があるとの1点だけは共通している。

  新型コロナウイルス感染拡大でさらに拍車が掛かった米中の対立激化を受け、中国は戦略の軸足を自立強化に移した。共産党指導部は自前の「核心技術」を確立して米国に頼らない方針を示す一方、習氏が提唱する「双循環」モデルの一環として国内経済の活性化により重点を置く。ただ、中国企業が基本的な製造や設計の専門的知見で外国勢と渡り合うには数年を要する見通しだ。

中国の次期5カ年計画、自前の核心技術開発を重視-外国から調達困難

Ant Group Headquarters as Fintech Giant Plans $17.5 Billion Hong Kong IPO

浙江省杭州のアント・グループ本社

  新たな技術開発に向けた適切な環境整備にはテクノロジー大手の力を制限しつつ、自前のイノベーションを推進するという微妙なバランスを取っていく必要がある。

  新たな独禁規定がどれほど厳格に実施されるのかは分からないが、先週公表された草案は、つい最近まで事業拡大で比較的自由を与えられていた馬雲(ジャック・マー)氏らテクノロジー起業家の力を抑える幅広い裁量を政府に付与している。緩い監督の時代は終わりを迎えつつある。

SoftBank Chairman Masayoshi Son and Former Alibaba Group Chairman Jack Ma Discuss at Tokyo Forum

馬雲氏

  オックスフォード大学で中国政治を専門とするラナ・ミッター教授は、「超富裕層でも服従させることができると明確にすることは象徴的な意味で重要だ」と指摘。「だが、共産党はビジネス界の主要人物が単なる富や資産を超えて権力に関して政治的な考えを持つ可能性を懸念しているようにも見える。このため、規制当局を使うのは共産党を上回る者など誰もいないというメッセージを強めるためでもある」と話す。

  北京のコンサルタント会社トリビアム・チャイナのデジタルリサーチ担当責任者、ケンドラ・シェーファー氏は「共産党にとって安定が何よりも大事だ」と分析。「競争や公正、お金よりも安定に価値を置いている。安定よりも大事なのは恐らく権力だけだろう。その権力を維持するのが安定なのだ」と述べた。

原題:Crackdowns Everywhere Show Xi Strengthening Party Grip on China(抜粋)

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