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ワクチンの開発データ開示しない中国、ファイザーの成功で圧力強まる

  • 中国の製薬各社は臨床試験第3相の暫定データを公表せず
  • 中国企業が全データを公開し競合各社の評価受けるのが一段と重要に

新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大し始めたころ、欧米の政治家は当初の情報提供が遅かったと中国を非難した。ワクチン開発を進める中国が信頼を得るには、情報の透明性が不可欠だ。

  米ファイザーとドイツのビオンテックは今週、両社が開発を進める新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチン候補について、数万人が参加した治験で90%を超える確率で感染を防いだとする暫定結果を発表した。

ファイザーの新型コロナワクチン、確率90%超で感染防ぐ暫定結果

  同じころ、ブラジルは中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発しているCOVID19ワクチン候補の臨床試験をいったん停止。中断から2日足らずで治験再開を認めた。有害事象に関する「不確かなデータ」を当初入手したが、新たな情報が得られたため停止の決定を撤回したという。ブラジルではボルソナロ大統領が先月、中国はコロナ危機の解決策を用意する信頼性を欠いており、ワクチンに国民の安心が得られないだろうと主張し、批判を強めていた。

ブラジル、中国「コロナバック」ワクチン治験再開-有害事象で中断後

  ヘルスケアと生命科学を専門とするオルブライト・ストーンブリッジ・グループのコンサルタント、シアオチン・ルー・ボイントン氏は「ファイザーが治験結果を発表する中、中国ではワクチン候補が臨床試験の最終段階にある。今ほど中国政府が国産ワクチンの安全性に対する一般的な認識に急いで対処すべき時はない」と指摘する。

China's Vaccine Web

Almost 100 countries have vaccine links with the Asian giant so far

Data compiled by Bloomberg

  中国は習近平国家主席肝いりの巨大経済圏構想「一帯一路」の関係国を含め60カ国余りにCOVID19ワクチンの提供を優先すると約束している。

  ただ、ワクチン開発でファイザーが大きく進展したタイミングで、ブラジルでの中国製ワクチン候補に問題が生じたことは、「中国のワクチン外交を危険にさらしている」とシンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院のヨンウク・リュウ助教(東アジア国際関係)は言う。「問題は透明性の欠如」であり、「中国政府が行うべき正しいことは、専門家が精査できるように、試験結果と関連情報を公開することだ」と呼び掛ける。

ワクチン開発競争リードする中国、深刻な副作用皆無が疑念呼ぶ

  中国ではすでに、ブラジルで試験が一時停止されたばかりのシノバック製のワクチン候補を含め、広範な緊急使用プログラムの下で数十万人にワクチンが投与されている。だが、開発をリードする中国の製薬各社はいずれも、ファイザーが行ったような臨床試験第3相の暫定データを公表していない。

  ブラジル保健当局は今月、ワクチン開発に関与している一部の施設を調べるため中国に訪問団を派遣するが、中国外務省の羅照輝次官は中国勢のワクチン開発について、「世界でもかなり進んだ位置」にあると主張。同省の汪文斌報道官は12日、多くの国から中国のワクチンプログラムは「称賛されている」と述べた。

  COVID19のワクチン開発・確保を巡り各国が競い合う中で、香港城市大学のニコラス・トーマス准教授(公衆衛生学)は中国企業が全てのデータを公開し、競合各社の評価を受けることが一段と重要になっているとの見方を示す。「世界が中国製ワクチンを信頼するようになるとすれば、情報には透明性がなければならないはずだ」と話している。

原題:China Under Pressure to Reveal Vaccine Data After Pfizer Success(抜粋)

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