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中国の独禁規制強化案、曖昧さが臆測呼ぶ-最悪のシナリオ想定も

  • 米西部開拓期のようなネット業界巡る「幅のある政策の時代」終わる
  • 1つの巨大事業体に全てを認める国は世界にない-証券弁護士

曖昧模糊(もこ)とした言葉遣いの多い22ページにわたる文書が、中国の大手インターネット企業の将来に影を落としている。独占禁止を強化する政府の指針案だ。

  習近平政権が準備を進める新たな独禁規定が、アリババグループテンセント・ホールディングス(騰訊)などにどれほどの悪影響を及ぼすか、投資家は見極めようとしている。アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が育てたフィンテック企業アント・グループは超大型の新規株式公開(IPO)を計画していたが、上場直前で突然中止となった。

中国、ネット業界で独占的慣行の根絶目指す-独禁ルール公表

  これまで大抵の場合そうだったように、中国指導部は規制をどれほど急いでいるのかや、今行動すると決めた理由についてほとんど説明していない。ただ10日に公表された独占的行為禁止の新たな指針案は、中国における生活のほぼあらゆる面に拡大した企業帝国を率いる馬氏のような起業家を黙らせる広範な裁量を政府に付与した。

China’s Internet Rulers

Tencent, Alibaba and Ant Group have invested in a vast array of Chinese startups spanning realms from social media to online commerce

Sources: Bloomberg, CB Insights, Crunchbase

*Listed or applied to list in an IPO. Data as of Nov. 11.

 

  上海の法律事務所ジョイントウィン・パートナーズの証券弁護士ジョン・ドン氏は米国の西部開拓期のような緩い規制に基づくネット業界を巡る「幅のある政策の時代は終わった」と指摘した。

  だが、当局は劇的な変更を始めようとしているわけではなく、ネット企業の監督権限をより明確にしつつあるだけだとの楽観的な見方もある。

  CLSAのアナリスト、エリノア・レオン氏(香港在勤)は「各ネット企業のリーダーが一定の影響を受け、やり方の調整が必要になる可能性はあるものの、リーダーシップに影響が及ぶ公算は小さい」と述べ、「インターネット企業は生来、規模を必要とするビジネスだ」と説明した。

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Chinese internet giants recoup some of their $290 billion loss

  懸念の1つは新たな独禁規定を取り巻く不確実性だ。当局が何を準備しているのかよりはっきりさせるまで、投資や買収、ベンチャーキャピタルの資金調達が冷え込む恐れがある。

  最悪のシナリオは、起業で成功し富を成したテクノロジー長者が高慢だとして不満を抱いた中国指導部が、たとえ経済と市場に短期的な痛みをもたらそうとも、そうした企業を分割することで教訓を与えたいと考えることだ。

  中国を70年余りにわたり統治する共産党と民間セクターの関係は常に微妙だ。10月の金融会議で、アリババの馬氏が急成長分野を統制する当局の試みを近視眼的で時代遅れだと発言をしたことが、最近のフィンテック企業締め付けにつながったと多くのコメンテーターが論じている。

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  独禁指針案の文章は極めて曖昧で、不吉な脅しのようにも読み取れる。違反企業は買収を禁止される可能性があり、買収計画を進めることが認められたとしても、保有資産の売却や知的財産・テクノロジーの共有、競争相手へのインフラ開放、アルゴリズム調整が強いられ得る。

  ジョイントウィンのドン氏は指針案について、「最終的に子会社分離を招く可能性が非常に高い。応じられない小さめの企業の多くがなくなるという結果になるかもしれない」と予想。「1つの巨大事業体に全てを認める国は世界にない」との認識も示した。

原題:Down $290 Billion, China Tech Investors Mull Nightmare Scenarios(抜粋)

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