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日産、7-9月期営業損失大幅に縮小-新車攻勢で危機脱却目指す

更新日時
  • 固定費削減で損失規模を48億円まで圧縮、市場は1480億円の赤字想定
  • コロナ禍から自動車販売は回復基調に、来期黒字化目指すと内田社長

日産自動車は12日、7-9月期の営業損益が48億円の赤字(4-6月期は1539億円の赤字)になったと発表した。新型コロナウイルスの感染が最悪期を脱して世界的に自動車販売が回復傾向にある中、コスト削減が実を結んで市場の事前予想を大幅に上回る内容となった。

  ブルームバーグが決算発表前に集計したアナリスト7人の営業損益予想の平均値は1480億円の赤字で、これを大幅に上回った。今期(2021年3月期)の営業損益についても3400億円の赤字の見通しと従来予想(4700億円の赤字)から赤字幅が縮小する。販売の回復や固定費の削減などが進展することなどが寄与するという。

Nissan Motor Vehicles Ahead of Half-year Earnings

横浜市内の日産販売店の看板 (11月10日)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

 

  横浜市の本社で会見した内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は、「第2四半期でお示しできた勢い、モメンタムをこの下期も継続させていくことが重要」と語った。その上で、「まだ赤字を出している会社」だとし、引き続き固定費の徹底化を集中させることで「台当たりの収益を上げていき、21年度の黒字化に必ずつなげていく」と述べた。

  日産の発表資料によると、コロナの影響が残る7-9月期は完成車や部品の販売への影響などで前年同期と比べ1715億円の減益要因となったが、一過性のものも含めた固定費や販売費用の減少が1500億円以上の利益を押し上げる形となり、損失圧縮につながった。

日産の決算概要

通期見通し

  • 売上高:7兆9400億円(従来予想7兆8000億円、市場予想7兆7910億円)
  • 営業損益:3400億円の赤字(従来予想4700億円の赤字、市場予想3712億円の赤字)
  • 純損益:6150億円の赤字(従来予想6700億円の赤字、市場予想5829億円の赤字)

7-9月実績

  • 売上高:1兆9185億円(前年同期2兆6307億円、市場予想1兆8970億円)
  • 営業損益:48億円の赤字(前年同期300億円の黒字、市場予想1480億円の赤字)
  • 純損益:444億円の赤字(前年同期590億円の黒字、市場予想1683億円の赤字)

  通期の販売台数計画は416万5000台と従来予想の412万5000台から引き上げた。想定為替レートは1ドル105.9円、1ユーロ123.2円と従来予想からそれぞれ0.2円と3.6円、円安方向に修正した。

  地域別では、日産の主力市場でカルロス・ゴーン元会長(特別背任の罪などで起訴)時代に推し進めた値引き販売の是正に取り組む北米市場の7-9月期の営業利益が449億円と前年同期比25%の大幅増となったほか、巨大市場である中国を含むアジア事業でも前年同期比で増加を果たしている。

保守的な見通し

  日産は9月にドル建て債を80億ドル、ユーロ建て債を20億ユーロの発行したことなどにより、同社の資金繰りは改善。9月末時点の現預金は2兆1280億円となり、6月末の1兆3348億円から大幅に増加した。

  新型コロナウイルス感染拡大の影響で低迷していた自動車販売は徐々に改善に向かっており、トヨタ自動車やホンダが今期業績を上方修正、独フォルクスワーゲン(VW)も7-9月期は営業黒字に転換するなど業界全体で回復の兆しが見えてきている。

  一方、経営再建中の日産の販売の回復ペースは競合に見劣りしており、10月に北米で投入した新型スポーツタイプ多目的車(SUV)「ローグ」(日本名・エクストレイル)などで反転攻勢を目指しており、12月の世界生産は前年同月比103%までの回復を見込んでいる。

  内田CEOはローグについて「好評をいただいている」とし、今後の新車投入にあわせて広告宣伝費などの投資を積極的に行っていく考えを示した。その効果が出るのは「早くても第4四半期の終わり、もしくは来年度の第1四半期になる」とした。先行投資の増加などにより、今年度下期(10-3月期)に見込む収益水準が「まだ数字的に見ると少し保守的に見えるじゃないかというところはあろうかと思う」とも述べた。  

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、7-9月期の実績について、販売台数減をしっかり予測していたのに対して爪に火をともすような「緊縮財政」の効果の織り込み方が足りなかったのではと指摘。

  他社との競争や新型コロナの感染再拡大のリスクもあり、「本質的な意味での体質強化がきちんと進んで、利益率が上がるという状況がサステイナブルに実現するとは、楽観していない」と述べた。

(決算の詳細と日産幹部や識者コメントを追加して更新します)
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