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日銀の地銀支援制度、活用進むかで慎重な見方も-株式市場は好感

更新日時
  • 福島銀が9%高まで上昇したほか筑波銀7.5%高、コンコルデ5.3%高
  • 支援要件満たすのは容易でなく大きなインセンティブでないとの声も

日本銀行が地域金融機関を支援する新制度の導入を発表したことを受けて、11日の株式市場では地方銀行の株価が上昇した。地銀再編を促すとの思惑から買い材料視されたが、実際に制度活用が進み、再編につながるかには慎重な見方も出ている。

  この日の株価は福島銀行が前日比9%高の254円まで上昇したほか、筑波銀行は7.5%高、コンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)は5.3%高までそれぞれ上昇した。

  日銀は10日、地銀や信用金庫が保有する日銀当座預金に0.1%の追加的な付利を行う制度を導入すると発表。経営統合など経営基盤の強化を図ることが要件で、2022年度まで3年間の時限措置として実施する。

  SMBC日興証券の佐藤雅彦アナリストは10日付リポートで「株式市場は地銀再編を促すものとして、短期的に地銀株にポジティブな反応を示すと想定される」と指摘した。

  上昇した地銀株には「第4のメガバンク構想」を掲げるSBIホールディングス(HD)との関連銘柄が目立つ。福島銀はSBIHDと資本提携しており、筑波銀はSBI証券と共同店舗を運営している。また、コンコルディアFGはSBIHDや山口フィナンシャルグループなどと共に「地方創生パートナーズ」を設立している。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の田村晋一アナリストは、新型コロナウイルス禍で増えた企業貸し出しが、予防的資金との性格から銀行預金に回っている現実があると指摘。日銀の新制度は、こうした資金をマイナス金利で預けるしかない「地銀の救済策だと言える」とコメントした。

  一方、SBI証券の鮫島豊喜アナリストはリポートで、日銀の新制度導入は「大きなインセンティブとは言い難い」と指摘。経費率(OHR)を3年間で4ポイント下げることが付利の条件であることに触れ、「容易な目標ではない」ためだと説明する。

  BIの田村氏もOHRの引き下げ目標達成は簡単ではなさそうだとして、地銀支援で最もベストなのは「マイナス金利政策をやめることだ」と述べた。

  それでも、銀行業界からは歓迎する声が上がった。コンコルディアFGの大矢恭好社長は11日の決算会見で「マイナス金利下で貸し出し収益が低迷している中では非常にありがたい」として、コスト削減を実行し、特別付利を受けられるよう適用を目指す方針を示した。

  再編については「事業戦略が合致する相手であれば、一緒にやるのはやぶさかではない」としたが、特別付利を得るために再編することは「あり得ない」とも述べた。

  政府は新型コロナの影響を受けている企業に対する実質無利子・無担保融資を導入し、連携して日銀が新たな貸付制度を導入するなど積極的な資金繰り支援を続けている。今回の新制度導入は、将来的な地銀再編を目指す菅義偉首相と足並みをそろえたとの見方も出ている。

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