コンテンツにスキップする

日経平均2万5000円回復は終息先取りーリターンリバーサルの波も

更新日時
  • ファイザーはコロナ終息を近づける今年最大のニュース-みずほ証
  • 鉱業や空運、銀行など騰落下位が上昇、日経平均優位には一服の兆し

新型コロナウイルスのワクチン開発に対する期待が一段と高まり、10日の東京株市場で日経平均株価は29年ぶりの高値を更新した。投資対象面では従来の「コロナ相場」からの揺り戻しで、大きなリターン・リバーサルの波が起きている。

  米ファイザーが共同で開発している新型コロナウイルスのワクチン候補は、数万人が参加した治験で90%を超える確率で感染を防ぐ暫定結果となった。みずほ証券の医薬品担当アナリスト、都築伸弥氏は結果について「コロナ終息を近づける今年最大のニュース」と評価する。想定以上に有効性は高く、終息へ大きく前進したという。

  コロナによる景気・業績への悪影響が緩和されるとの期待から、9日の米10年債利回りは0.92%へと急騰し、米ダウ工業株30種平均は大幅高となった。10日の東京株市場でも日経平均株価は29年ぶりに一時2万5000円台を回復し、TOPIXは2月以来の1700台乗せとなった。

  大和証券投資情報部の石黒英之シニアストラテジストは「ワクチンが実用化されれば人々が通常の生活に戻りやすくなる。コロナ前に戻る道筋が見えてきた」と語る。日経平均について「株価収益率(PER)からすると割高に映るものの、株価純資産倍率(PBR)では歴史的にみても低い水準だ」と指摘。コロナ悪影響が沈静化して利益水準が回復し、株主資本利益率(ROE)が改善へ向かうなら、「過去5年間の平均PBR1.2倍の2万6146円が一つのめど、2万6000円台は正当化される」とみる。

PBRは回復途上

  一方、日本株全体では上昇基調を強める中で、投資対象には大きな変化も起きている。東証33業種ではコロナの悪影響が警戒されてことしの騰落率で下位にあった鉱業や空運、鉄鋼、陸運、銀行、不動産などが上昇した半面、同上位にあった情報・通信や精密機器、その他製品は下落した。

■ことしの業種別騰落率(9日終値)

東証33業種の年初来騰落率

  昨日の米国株市場ではコロナ禍で相対的に恩恵を受けやすいナスダック総合指数は大幅安となった。テクノロジー企業が多く、日本のナスダックと称される東証マザーズ指数はきょう6.4%安と3月9日以来の下落率。テクノロジー株やグロース株が相対的に多い日経平均は終値では0.3%高にとどまったのに対し、景気敏感やバリュー株の多いTOPIXは1.1%高と、主要株価指数にはやや温度差も生じつつある。

  松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「これまで買われていたネット関連やテクノロジー株が売られ、安値に放置されていた銘柄に資金が向かっている。大きな資金が方向性を変えたようだ」とみる。日経平均は短期間で節目を次々と突破してこれまではTOPIXに対して優位性を示していたものの、リターン・リバーサルの動きが強まれば「しばらくはTOPIX優位の展開になりそう」とも予想していた。

(終値で指数を更新し、最終段落にコメントを追記しました)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE