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ワクチン開発競争リードする中国、深刻な副作用皆無が疑念呼ぶ

  • 「極めてクリーン」なデータは心配-ワクチン専門家のキンチ氏
  • 10万人以上に投与し深刻な影響ないなら真実であり得ないとの指摘も

新型コロナウイルス感染症(COVID19)のワクチン開発競争でリードする中国企業の勢いは止まらないように見える。ただ、欧米の製薬会社が臨床試験中に起きた問題で中断を余儀なくされた中で、中国勢が安全性の問題をどこまで厳格に検証・報告しているのかという疑問も生じている。  

  米国でのワクチンの緊急使用許可(EUA)は最も楽観的な見通しで11月後半から12月で、中国に大きく後れを取っている。臨床試験の最終段階入りしているワクチン候補は中国が最多で、習近平国家主席が開発に成功した国産ワクチンを外国と共有すると表明していることから、中国製のワクチンが世界中で幅広く使われる可能性がある。

  中国製薬各社が用いている基準と安全対策の曖昧さが懸念を招く中で、中国は正式承認前の一部ワクチンを緊急使用プログラムの下で国内に配布。中国企業は臨床試験の最終段階に参加しているボランティア約6万人にワクチンを接種し、深刻な副作用の報告は今のところないと科学技術省が発表した。

中国、未承認ワクチンの使用範囲拡大を擁護-深刻な副作用ないと説明

中国のワクチン開発企業が安全性の問題をどこまで厳格に検証・報告しているのかという疑問が生じている

(出典:ブルームバーグ)

  米セントルイスのワシントン大学に所属するワクチン専門家マイケル・キンチ氏は「根本的に生物学は厄介で、全く偶然に心臓発作や神経系の障害などが発生するリスクが常にある」と指摘、「全く何も報告がないというのは奇妙で、疑わしくさえ思われる」と述べる。ワクチンと免疫の歴史に関する著書を2018年に出した同氏は「極めてクリーン」なデータは心配だと言う。

  医学誌BMCメディシンに15年に掲載された研究では、202件の後期臨床試験を検証。このうち深刻な副作用に言及していなかったのはわずか1割程度で、この割合でさえ治験中の主要な副作用の規模を過小に表している可能性があるとキンチ氏は語った。

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科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が北京に置く工場(9月)

写真家:ゲッティイメージズ経由の王趙/ AFP

  中国の企業と当局者は開発中のワクチンについて、研究で安全であることが分かっていると説明。開発企業によると、これまでに確認されたのは軽い発熱や注射部位の痛み、かゆみ、倦怠感、めまいといった一般的なインフルエンザワクチンと同程度の軽度の症状だけだ。

  元ハーバード・メディカル・スクール研究者で今は非営利のアクセス・ヘルス・インターナショナルを率いるウィリアム・ヘーゼルタイン氏は「10万人以上にワクチンを投与し深刻な影響が見られないという発表は、真実であり得ない」との認識だ。「ワクチンの安全性と効果を確認する時間的余裕のある国が世界にあるとすれば中国だ」と語る。

Klick Health Ideas Exchange

エゼキエル・エマニュエル氏

写真家:ニールソンバーナード/ゲッティイメージズ

  米ペンシルベニア大学ヘルスケアトランスフォーメーション研究所のグローバルイニシアチブ担当副学長兼共同ディレクターのエゼキエル・エマニュエル氏は、中国の一部研究には疑問があり、中国のワクチンを「採用すべきか疑念やためらいを感じるのは妥当だ」と話す。 

Zheng Zhongwei

中国国家衛生健康委員会科技発展センターの鄭忠偉主任

写真家:Mark Schiefelbein / AP Photo

中国生物技術、留学前の学生に未認可コロナワクチン投与計画-関係者

  中国国家衛生健康委員会科技発展センターの鄭忠偉主任は北京で10月20日開いた記者会見で、緊急使用プログラムの参加者について、接種に伴う副作用がないか追跡しており、今のところ軽度の発熱と発疹はあるものの、深刻な症例は報告されていないと語った。中国国家薬品監督管理局はこの記者会見以上のコメントを控えている。

原題:China’s Race for Covid-19 Vaccine Raises Safety Questions (1)(抜粋)

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