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トランプ政権の対中国政策、成果乏しく-対中イメージ悪化には成功

  • 対中関係見直しを公約したトランプ氏-米企業の懸念変わらず
  • 中国に否定的な米国人の割合はトランプ政権下で20ポイント増

ドナルド・トランプ氏は2016年の米大統領選で、中国が米製造業を空洞化させ、そこで働く労働者の生活を困窮させているとして対中経済関係を見直すと公約した。政権発足からの約4年間が示すのは、同氏自らが掲げた公約の実現に向けて講じた措置の効果が限定的だったという現実だ。

  米企業が中国に関して示す懸念は今もトランプ政権発足時とほとんど変わらず、同国での事業拡大の目標にも変化はない。トランプ氏が前例のない貿易戦争を仕掛け、本来なら共和党が標榜(ひょうぼう)する自由貿易に反する措置を講じても、結局は米製造業の雇用創出ではなく喪失を招いたとエコノミストらは指摘する。トランプ大統領が対処すると主張した中国による自国企業への支援もなお続いている。

  だが、トランプ政権下の4年間で中国に対する米国人の印象は大きく変わった。以下にトランプ氏が中国との経済関係の見直しに向けて掲げた公約を挙げ、4年間にどのような成果を収めたかを示す。

Donald Trump Gives Speech On American Economic Independence

ペンシルベニア州モネッセンで演説するトランプ氏(2016年6月28日)

米製造業の復活

  トランプ氏は「米国を再び偉大にするための米中貿易関係の見直し」と題する16年大統領選の文書で、米国に数百万の雇用を取り戻し、米製造業を復活させると約束した。

  巨額の追加・報復関税に至った米中の対立激化後でも、米企業は引き続き中国事業にコミットしており、中国を離れる計画がある企業はほとんどなく、米国に戻ることを目指す動きも乏しい。

  製造業の雇用についてはトランプ政権が18年に対中関税の賦課を始めた後、伸び悩んでいる。保護主義的な措置で一部の企業の雇用は小幅に増えたが、「投入コスト増や報復関税によるマイナスの影響の方がそれを上回っている」と、米連邦準備制度理事会(FRB)スタッフは研究論文で指摘した。

Mired

U.S. manufacturing jobs are down almost 30% over the last 20 years

Source: Bureau of Labor Statistics

知財の窃盗許さず

  トランプ氏は16年の選挙戦で、自分が当選すれば「知的財産の窃盗や強制的な技術移転を一切容認しない断固とした政策を採用する」と表明した。

  現実はほとんど変わっていない。在上海の米商工会議所が6、7両月に実施した調査によると、知財侵害で事業が妨げられていると答えた中国に進出する米企業の割合はトランプ政権発足前とそれほど変わらなかった。

Intellectual Property Infringement

Majority of American Chamber of Commerce firms now cite intellectual property issues as a hinderance to doing business in China

Source: American Chamber of Commerce 2016 and 2020 member surveys

中国の補助金に終止符

  トランプ氏の対中政策の柱の1つは、同氏が不公平だと主張する自国企業への支援制度を中国にやめさせることだった。中国における輸出補助金や金利の優遇を理由に、競争条件が同じでないというのがトランプ政権の分析だ。

  第1段階の貿易合意ではこの点に対処することはなく、第2段階の貿易交渉で取り上げる予定だと当局者は話すが、実際に進展するのかどうかや、それがいつになるのかは不明だ。

貿易赤字の削減

  トランプ氏は16年の選挙戦文書で、「米国が抱える慢性的な貿易赤字の解消」を主張。主な相手国として中国やカナダ、ドイツ、日本、韓国を挙げ、赤字削減が同氏の「第一の目標」であるとした。

  トランプ政権発足以降、月次の対中貿易赤字は平均で303億ドル(約3兆1600億円)と、287億ドルだったオバマ前政権2期目当時よりもやや大きくなっている。

Trade Deficit with China

U.S. trade balance average in goods with China is little changed

Source: U.S. Census Bureau

Note: Not seasonally adjusted, Monthly average trade gap since Jan. 2017 is $30.3 billion. That compares with $28.7 billion for Jan. 2013 Dec. 2016

対中イメージの悪化

  ライトハイザー通商代表部(USTR)代表やナバロ大統領補佐官ら対中タカ派を擁するトランプ政権は、目標として掲げたことはないものの、米国における中国のイメージ悪化には前例のないほどの成果を上げた。トランプ氏は新型コロナウイルスの感染拡大は中国のせいだとここ数カ月にわたり訴えている。

  対中批判は民主・共和両党が一致できる数少ない問題でもある。ピュー・リサーチ・センターによると、中国を好ましく思わない米国人の割合はトランプ政権発足以降で約20ポイント増えている。ピュー・リサーチが今月公表した調査では米国人の約73%が中国を否定的に見ていた。

中国に対する否定的な見方、各国で記録的水準-米ピュー・リサーチ

原題:
Trump’s China Scorecard Shows Many Defeats, and One Big Change(抜粋)

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