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物価2%への道筋、コロナの影響和らげば明確に-黒田日銀総裁

更新日時
  • ETF購入に市場安定化効果、超長期国債買い入れをやめる考えない
  • 金融システム安定維持へ、金融庁と連携して必要な対応
黒田総裁

黒田総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
黒田総裁
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行の黒田東彦総裁は29日、金融政策決定会合後に会見し、新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着けば、2%の物価安定目標に向けた道筋をより明確にしていくと語った。日銀の上場投資信託(ETF)買い入れは、コロナ禍での市場の不安定な動きを緩和する効果があったとの見解も示した。

  総裁は、現在の金融政策運営は新型コロナに対応し、資金繰り支援策や金融市場の安定化策を優先することが「最も必要」と指摘。物価2%目標は事実上の棚上げ状態にあるが、コロナの影響が和らいでいくにつれて「経済活動の刺激と安定目標に向けた道筋をより明確にしていくように政策のウエートが動いていく」と語った。

  同日の決定会合では、新型コロナウイルス感染症への対応を含む現行金融政策の維持を決定。同時に発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2020年度の経済成長率と消費者物価の見通しを下方修正した。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda News Conference After Rate Decision

黒田東彦総裁

Photographer: Karina Nooka/The Nikkei/Bloomberg

 

  展望リポートでは、引き続き日銀が目指す物価2%目標の実現が遠い姿が示されたが、総裁は政府との共同声明に言及し、現在も早期の2%実現という目標は「維持しているし、それ自体は変える必要がない」と断言した。

  総裁はETFの買い入れについて、市場の状況に応じて柔軟に行っていると説明。経済や市場が安定してくれば出口も議論するとしたものの、現時点では引き続き必要な施策だとの認識を示した。

  また、長短金利操作政策におけるイールドカーブの状況に関し、超長期金利は「下がり過ぎると生保や年金の運用利回りが大幅に低下し、間接的に消費者のコンフィデンスに影響する恐れがある」と述べ、超長期国債の買い入れについて「やめるとか、カーブ全体の 買い入れについて見直しが必要、適当とは考えていない」と語った。

2020-22年度の見通し

予想時点実質GDPコアCPI参考コアCPI
2020年度10月-5.5-0.6-0.7
7月-4.7-0.5-0.6
21年度10月3.60.4
7月3.30.3
22年度10月1.60.7
7月1.50.7
出所:日銀・展望リポート(単位は%)、参考CPIは消費税率引き上げ・教育無償化政策の影響を除いた場合


  新型コロナの内外経済への影響を巡っては、不透明感が強いと改めて強調した。引き続き現在の金融緩和措置をしっかり実施すると説明。資金繰り支援策は効果を発揮しているとした上で、必要なら延長する考えを示した。

  超低金利環境の長期化に伴い、一段と金融仲介機能や金融システムに負荷がかかりやすい状況になっているが、総裁は現時点で金融仲介機能が停滞するリスクは大きくないとの見方を示しながら、「今後も感染症の影響を点検し、さまざまな可能性について金融庁と連携しながら必要な対応をとっていきたい」と語った。

  ブルームバーグ・エコノミクスの増島雄樹シニアエコノミストは「実質GDPと消費者物価の見通しの下方修正は景気刺激における課題を浮き彫りにしたが、実際に政策スタンスが揺らぐことはないだろう」と分析。欧州の新型コロナ感染再拡大や米大統領選を巡る円高を不安材料に挙げ、「政策転換が差し迫っているとはみていないが、日銀は経済への潜在的なショックに対し警戒を続ける必要がある」と話した。

  決定会合の「主な意見」は11月9日、「議事要旨」は12月23日に公表される予定。

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(黒田総裁の物価目標に関する発言などを追加して更新しました)
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