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苦境のANAHDがLCC新ブランド、窮余の一策に市場から懐疑論も

  • 新ブランドで事業が複雑化、追加コスト発生のリスク-ゴールドマン
  • ピーチでの実績など強み発揮、低コスト運航できる-片野坂社長

新型コロナウイルスの影響による航空需要の低迷を背景に今期(2021年3月期)に5050億円の巨額営業赤字を見込むANAホールディングス(HD)。事業構造改革の一環として公表した国際線での新たな格安航空会社(LCC)ブランドの立ち上げは反転攻勢を目指した苦肉の策だが、市場からは早くも懸念の声が上がっている。

Operations at Haneda Airport Ahead of ANA and JAL Earnings

ANAの機体(10月25日、羽田空港)

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  ANAHDの27日の発表によると、傘下の全日本空輸と格安航空会社ピーチ・アビエーションに続く「第3ブランド」を設立。中距離の東南アジア・豪州路線を中心に拡大が見込まれるレジャー需要獲得に向け、ANAグループでアジア・リゾート路線を担うエアージャパンを母体として22年度をめどに運航を開始する。

  ANAHDの片野坂真哉社長は同日の会見で、新ブランドの立ち上げにあたってはLCCのピーチを長年運航してきた実績やエアージャパンを母体とすることで速やかな事業の立ち上げが可能といった「強みを生かせる」と強調。さらに機材は全日空で使用されているボーイング787型機を活用するなど「低コスト運航ができると考えている」とした。

  これに対してゴールドマン・サックス証券のベン・ハートライト氏らは28日付のリポートで、新ブランドが注力する地域では、これまで中距離LCCには優れた実績がないことやANAHDの事業がより複雑化し、追加コストを発生させるリスクがあると分析。成功するかどうかに関しては現時点では「重大なリスクがあると考える」と懸念を表明した。

  また、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ジェームス・テオ氏は、第3ブランドの立ち上げや顧客データを活用したプラットフォーム・ビジネスの展開には追加の投資が必要になる可能性があり、長期的にみればいい計画だとしても「そういったことを行うのに今は最適な時期ではないかもしれない」と指摘した。

  片野坂社長は、ピーチと新ブランド間で需要の「カニバリゼーション(共食い)がないように考えていく」とし、共食いを避けるために「路線の選択やマーケティングを組み立てていく必要」があると述べた。

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