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三重苦に陥る陸運など4業種、コロナ沈静化でも「おいてけぼり」

更新日時
  • 東証33業種の過去1年騰落率では今期赤字見込み業種が下位独占
  • 新型コロナ常態化、今期赤字見通し、株価低迷の連鎖を断ち切れず

新型コロナウイルス常態化、赤字見通し、株価低迷の三重苦に見舞われる陸運や鉱業などが負の連鎖を断ち切れないでいる。決算シーズンで抜本的な膿を出し切る決意を示さない限り株価の低迷長期化は避けられないと、市場の見方は厳しくなっている。

  TOPIXは新型コロナで一時急落した場面もあったが、1年前と比べて2.2%安とコロナの直接的影響はそれほど大きくない。

低迷業種に共通するのは赤字見通し

  だが、足元で二極化相場が進む中、過去1年の東証33業種の騰落率を見るとTOPIXよりパフォーマンスがよいのは9業種のみ。残り24業種の中でワースト5は鉱業、空運、石油・石炭製品、鉄鋼、陸運。みずほ証券によると、石油・石炭製品を除く残りの4業種に共通するのは、今期最終赤字が見込まれる点だ。

Operations at Haneda Airport Ahead of ANA and JAL Earnings

羽田空港では現在も人影がまばら(10月25日).

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  ちばぎんアセットマネジメント調査部の奥村義弘氏は「赤字業種の株価がおいてけぼりにされている」として、その背景を「空運や陸運は、新型コロナの影響で経済活動正常化の道が見えない中で冬場を迎える。業績先行き不透明感が強い」と話す。鉱業などエネルギー市況関連については「コロナ後の環境重視の世界では化石燃料がマイナスの影響を受けやすい」と言う。

  日本企業の業績悪化の要因となった新型コロナは、欧米で再度感染の勢いが増している。国内では相対的に感染者数が沈静化しつつあるが、赤字見込み業種の株価は沈んだままだ。みずほ証券の倉持靖彦マーケットストラテジストは「そう簡単に人の動きは戻らない。コスト削減が追加で必要になるかもしれず、均衡点が見えない。もし既存設備に収益性が乏しいとなれば、減損処理を行う必要も出てくる」とみる。

重要度増す企業の事業戦略

  今年度第2四半期業績の発表が10月4週から本格化し、三重苦の業種で厳しい決算が相次いでいる。ANAホールディングスは27日、決算とともに構造改革を提示。株価は翌朝4%高まで上げた後、失速した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の土屋康仁シニアアナリストはANAHDについて、「公募増資の可能性による株式の希薄化リスクが残っている間は株価が上がりにくい」と分析する。

  28日に決算を発表したJR東日本は4-9月期最終損失が2644億円となった半面、通期赤字計画の4180億円は据え置いた。同じくJR東海は4-9月期最終損失が1136億円となり、従来未定としていた通期計画での最終損失を1920億円と開示、減配方針も示した。29日は両銘柄とも売りが先行し、JR東日本は8年ぶり安値を更新、JR東海は8月安値に接近しつつあるなど、決算直後の反応は悪材料出尽くしとはなっていない。

  決算シーズンに合わせ、企業の戦略練り直しも活発化している。三菱重工業は航空需要が当面見込めないと判断してジェット客機事業を事実上凍結する方向と報じられた。株価は翌日こそ大幅高になったが勢いは続かなかった。JR西日本は上期決算が予定される30日、中期計画の見直しも同時に行う。

  モルガン・スタンレーMUFG証券の尾坂拓也アナリストはJR西日本について、「今回は損益計算書の経営目標に加え、設備投資、財務戦略、減損リスクの有無など、キャッシュフローや財務諸表の経営目標の重要性が従来以上に高い」との見方を示す。

  

過去1年の騰落率

  ちばぎんAMの奥村氏は「赤字が続くと資産が痛む。赤字業種は減損を含めてまだ膿を完全に出し切れておらず、収益シナリオを描きにくい。空運は資金繰りの問題も残る」と語る。このため、赤字見込み業種は「赤字が株価に織り込まれた部分はあるが、もみ合いが続く可能性がある。決算で企業が構造的にどう変化できるかをみてみたい」と話していた。  

  一方、三菱UFJ国際投信の石金淳チーフストラテジストは、決算シーズン後の株価について、赤字見込み業種内でやや格差が生じるかもしれないと予想する。陸運や鉱業は株価回復に時間がかかると分析する半面、「コロナが沈静化すればいずれ需要が戻る空運、米中インフラ投資の恩恵を受ける鉄鋼は押し目買い意欲が強まる可能性がある」とみていた。

決算シーズン直前まで低迷続く
(7段落にJR2社の決算ときょうの株価動向を追記します)
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