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ANAHDはコロナで視界不良、今期大幅赤字に-コスト削減徹底

更新日時
  • 市場予想大幅に上回る赤字幅-劣後ローンで4000億円、構造改革案も
  • 片野坂社長「来年度は必ず黒字化したい」、事業モデル変革に意欲

ANAホールディングス(HD)は27日、今期(2021年3月期)の営業損益が5050億円の赤字になるとの見通しを明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、航空需要が大きく減少していることなどが響き、市場予想の平均値(3760億円の赤字)より大幅に悪い内容となった。

Operations at Haneda Airport Ahead of ANA and JAL Earnings

羽田空港を離陸するANAの機体(10月25日)

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  収支を改善するための航空機の大量退役による減損損失などにより今期に1100億円の特別損失を計上することを明らかにした。また、従来は未定としていた今期の年間配当についても無配とする方針を発表した。20年1-3月期の業績悪化を受けて同社は前期(20年3月期)も無配だった。

21年3月期見通し
  • 売上高:7400億円(前年同期1兆9742億円、市場予想9263億円)
  • 営業損益:5050億円の赤字(前年同期608億円の黒字、市場予想3760億円の赤字)
  • 純損益:5100億円の赤字(前年同期277億円の黒字、市場予想2900億円の赤字)

7-9月期実績

  • 売上高:1702億円(前年同期5555億円、市場予想2312億円
  • 営業損益:1219億円の赤字(前年同期627億円の黒字、市場予想1146億円の赤字)
  • 純損益:797億円の赤字(前年同期454億円の黒字、市場予想810億円の赤字)

  また資金繰りへの対応として劣後特約付きシンジケートローンによる総額4000億円の資金調達も実施する。借り入れ実行日は10月30日で返済期日は55年10月29日と57年10月31日。劣後ローンは資本に類似した特徴を持ち、株式を希薄化することなく財務の健全性を高めることができるとしている。

  ANAの片野坂真哉社長は都内の本社での会見で、国内線が比較的順調に回復しているのに対し、国際線は「依然厳しい」と指摘。再成長のためコスト削減だけでなくビジネスモデルの変革を図ることで「来年度はあらゆる手を打ち必ず黒字化したい」との意欲を示した。また、JAL破たん時のような公的支援は想定していないとも述べた。

  新型コロナの感染拡大による移動制限などで国際線を中心とした多くの路線で運休・減便が続いており、国際航空運送協会(IATA)は20年の世界の旅客需要見通しを前年比66%減に引き下げた。IATAが国際線の需要が19年の水準を回復するのは24年になると予測する中、需要低迷の長期化に備え、航空各社にとって人員や機材の圧縮で固定費の削減や財務基盤の強化などの取り組みが急務となっている。

  片野坂社長は劣後ローンにより財務健全性は問題ないと見ており、「手持ち資金の心配はしてない」と述べた。公募増資を決めている事実はないという。また、グループの従業員の一部が家電量販チェーンのノジマや高級スーパーの成城石井、鳥取県内の企業などに12月までに約10社に100人程度出向することも明らかにした

ANAHDの事業構造改革案の骨子
  • エアバスA380型1機とボーイング777型1機の受領を延期
  • 事業規模一時的に縮小、費用削減今期は約1500億円、来期は2500億円
  • グループ外企業などへ出向、12月までに10社100人程度-来春には400人以上を見込む
  • 当初の7機に加え28機を早期退役、今期は計35機-大型機中心
  • 航空機やエンジンなどの整備作業などの外注業務を内製化
  • 働き方の変化に合わせたオフィスを削減、集約
  • グループ役職員の報酬・賃金・一時金の削減や休業制度の拡充など人件費抑制策を労組に提示
  • ANAの顧客データなどを活用したプラットフォームビジネス
  • エアージャパン活用した第3ブランドを展開

  

(会見での片野坂社長のコメントなどを追加して更新します)
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