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国内航空2社に未曽有の危機、止血策や資金繰り注目-決算発表で

更新日時
  • コロナで国際線の低迷長期化、ANAHDとJALは生き残りに奔走
  • ANAHDの今期純損失5300億円、JALは2300億円との報道も

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ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)の国内航空大手2社が今週、決算発表を行う。新型コロナウイルス感染拡大の影響による航空需要の長期低迷で巨額の赤字が見込まれる中、人件費削減などの止血策や資金調達に向けた動きなどに注目が集まっている。

Japan Airlines Fly Sightseeing Flight With Unused Plane

間隔を空けて座るよう注意書きが張られた成田空港のベンチ

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  27日に第2四半期決算と事業構造改革の発表を予定するANAHDは、今期(2021年3月期)は過去最大となる5300億円前後の純損失を計上する見通しと報じられている。ブルームバーグが集計したアナリスト9人の今期の純損益予想の平均値は2900億円の赤字で、報道が事実であれば市場のコンセンサスより大幅に悪い内容となる。

  一方、JALの市場予想平均は2122億円の純損失。日本経済新聞電子版は27日、JALの今期の最終損益が2300億円前後の赤字になりそうだと報じた。赤字となれば12年の再上場後初めてとなる。両社はこれまでコロナ禍の影響を算定することは困難として今期の業績予想を開示していない。

  新型コロナの感染拡大に伴う移動制限などで多くの路線が運休・減便となり、固定費の負担が重い航空業界は未曽有の危機に陥っている。欧米で感染が再び拡大する中、国際線を中心に需要低迷の長期化への懸念は高まっており、航空各社は生き残りに向けた対策を進めている。

  ANAHD傘下の全日本空輸では希望退職や賃金カットを行う方針であるほか、保有する旅客機の約1割に当たる25-30機程度を削減する方針であることが報じられている。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の土谷康仁シニアアナリストは、日本の航空会社は経営破たんや人員削減が当たり前の海外の航空会社とは「全くモデルが違う」とし、ANAHDは希望退職や機材処分で「そんなに大きなことはできない」というのが市場の認識だと述べた。これまで報じられた固定費削減策は「そんなことは普通にやると思っているので、それ以上に踏み込んでくるのかが注目」と語った。

  ANAHDは役員報酬の削減や一時帰休制度の活用などで4-6月期に325億円の固定費の削減を実施。7月の決算発表時には今期の固定費削減見通しを約750億円とした上で、対象項目の拡大などで積み増しを図るとしていた。JALも8月、固定費の年間削減目標額を従来見通しから300億円上積みし、900億円を目指すと発表した。

  全日空が固定費削減の一環として、約1万5000人の従業員の年収を平均約3割減額すると報じられたほか、読売新聞はANAHDが外部企業に社員を出向させる検討も行っているとも報じた。

劣後ローン

  両社の決算でもう一つの焦点となるのが資金調達や財務基盤強化の取り組みだ。ANAHDは借入金と融資枠の設定で計約1兆円を確保。JALも2月以降に約3000億円の資金を調達し、融資枠も1500億円増額したと明らかにしている。ANAHDは官民5行から返済の優先順位が低い劣後ローンで4000億円の融資を受ける見通しであるほか、2000億円規模の公募増資を検討しているともされている。

  一方、JALも劣後ローンの活用を軸に2000億-3000億円規模の資金を調達する検討に入ったことが分かったと共同通信が26日報じた。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ジェームス・テオ氏は、両社の6月時点の手元流動性と推定される現金流出額を踏まえると、ANAHDとJALの2社には「少なくとも今期末まで耐えられるだけの十分な流動性がある」との見方を示した。ゴールドマン・サックス証券も今月、需要が順次回復していく見通しを踏まえると、両社とも追加の資金調達は不要との見方を示した。

  一方、土谷アナリストは一部が資本とみなされる劣後ローンを4000億円調達したとしても、ANAHDが5300億円規模の純損失となった場合、同社の株主資本比率は20%前後まで下がるとみられることから「早急に新たな資金調達が必要」になるとの見方を示した。

  土谷アナリストは「エクイティファイナンスをやるかやらないかは、ある意味で早い者勝ち」とし、コロナ禍の影響でさまざまな業界で財務基盤強化のための公募増資が増加する可能性があることから、実施する場合はタイミングが重要になるとの見方を示した。

(JALの業績見通し報道を追加して更新します)
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