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実体経済の停滞続けば、国内貸し出しは22年度に減少へ-日銀分析

更新日時
  • 資金需要低迷と自己資本比率悪化で、黒字維持も困難
  • 金融システムは安定維持、景気回復緩やかでも「相応の頑健性」

日本銀行は22日公表した金融システムリポートで、新型コロナウイルス感染症の影響によって実体経済が停滞してしまう場合、資金需要の低迷や金融機関の自己資本比率の悪化を背景に、2022年度には国内貸し出しが減少に転じるとの分析結果を公表した。

  今回のマクロ・ストレステストでは、コロナショックによってすでに実体経済が大きく落ち込んでいる現状を出発点に、実体経済が1)調査期間・市場の平均的な見通しで推移(ベースラインシナリオ)、2)20年度後半の国内総生産(GDP)成長率がベースラインシナリオの半分にとどまる(鈍化シナリオ)、3)ショック後のペントアップ需要が発生せず、成長率が過去平均並みにとどまる(停滞シナリオ)ーとの前提で試算した。

  22年度までのシミュレーション期間においてベースラインシナリオでは、企業金融支援の効果もあって信用コストの上昇も抑制され、当期純利益も黒字を確保できる。一方、それ以外のダウンサイドシナリオでは、信用コストや有価証券関係損益の悪化、資金利益の減少によって国際統一基準行、国内基準行、信用金庫の全てで「黒字の維持が難しい」との結果になった。

Bank of Japan Headquarters Ahead of Rate Decisions

日銀本店

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  特に実体経済の停滞が続く厳しいシナリオでは、国際統一基準行の自己資本比率の平均値は8%を下回り、「より多くの⾦融機関で資本バッファーの取り崩しが⽣じる⽔準まで低下」する。国内基準行や信用金庫は規制水準の4%を上回る水準を確保できるものの、ベースラインシナリオに比べ平均で2-3ポイント低下する。

  こうした自己資本比率の悪化は金融機関の貸し出し余力の低下を招く上、景気停滞に伴って資金需要も低下することから、国内貸し出しは国際統一基準行、国内基準行、信用金庫のいずれも前年比で減少する姿となっている。

  日銀は分析結果を踏まえて「厳しいストレス事象が発生する場合には、金融機関の経営体力の低下により、金融仲介機能の円滑な発揮が妨げられ、実体経済のさらなる下押し圧力として作用するリスクがある」と指摘している。

  現状の金融システムは、新型コロナの影響が内外経済や金融面に大きな影響を及ぼしているものの、「全体として安定性を維持している」との評価を維持。景気改善が緩やかなものにとどまるとの想定でも「相応の頑健性を備えている」とみている。

(詳細を追加して更新しました)
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