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中国警戒で広がる「ファイブアイズ」の役割-日独加わる余地の議論も

  • 「一種の冷戦への逆戻り」-英国王立防衛安全保障研究所のエヤル氏
  • 枠組みが大きくなれば情報源を守る上で懸念が増すとの指摘も

米国やオーストラリアなど欧米の価値観を共有する国々が中国との対立を深める中で、米豪英とカナダ、ニュージーランドの5カ国から成る機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」が役割を広げつつある。

  新型コロナウイルス感染症(COVID19)や子どもの人身売買といったあらゆる問題で情報分析の向上を追求するファイブアイには、メンバーを増やす呼び掛けもなされている。

  英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のジョナサン・エヤル国際安全保障部長は「かつてアンゴラで起きた出来事をソ連のプリズムを通して見たように、世界中で集められた情報は常に中国アングルを持つようになる」と述べ、「一種の冷戦への逆戻りだ」と指摘する。 

  スパイが活躍する映画「ミッション:インポッシブル」シリーズとは違い、ファイブアイズには正式なスタッフも本部もない。米国家安全保障局(NSA)や英政府通信本部(GCHQ)、豪秘密情報局(ASIS)などの組織をつなぐ非公式なネットワークだ。2000年代前半まではその存在が公に認知されることはなかったが、今は会合が時折、報道資料で伝えられる。

  事情に詳しい関係者によれば、英語圏5カ国のパートナー関係は、電波信号傍受による情報活動に焦点を絞っていた以前と比べるとはるかに進展しており、新たに発生するさまざまな課題に対応するのに不可欠なフォーラム的な特徴を帯びつつある。

U.K. PM Johnson Hosts A Meeting Of Cabinet Ministers

ラーブ英外相

  ラーブ英外相は6月、中国による香港国家安全維持法(国安法)導入で香港市民が脱出する事態に備え、ファイブアイズのパートナーに「負担の分担」を訴えた。その後、バー米司法長官を含めた内務担当相はオンラインを介した子どもの性的虐待と「敵対的な国家の活動」について協議。財務相会合ではCOVID19の経済的影響が話し合われ、5カ国の国防相は定期会合を増やすことで合意した。

  カナダ安全情報局(CSIS)のトップだったリチャード・ファデン氏によれば、「中国は今、ファイブアイズ全ての国および西側諸国にとって脅威だと一般的に認識されている」という。

  ロイター通信は2018年10月、ファイブアイズが中国に対抗するためドイツや日本などを加える余地を広げたと報道。今年8月には河野太郎防衛相(当時)が日本経済新聞とのインタビューで、ファイブアイズとの連携強化に意欲を示した。

  ただ米中央情報局(CIA)の中国での責任者を務めた経験があるランディ・フィリップス氏は「枠組みが大きくなればなるほど、情報源と情報収集のやり方を守ることについての懸念が増す」と説明。豪国防省で戦略・情報担当の幹部だったヒュー・ホワイト氏は、電波信号傍受をベースに長年続いたパートナーシップを中国の挑戦に対抗するため活用できるというアイデアには「極めて懐疑的」との見方を示した。

  実際、中国の行動に目を光らせても難題は残る。例えば、オーストラリアは中国への対応で主張を強めつつあるが、中国は豪最大の貿易相手国。英国も欧州連合(EU)離脱後の世界で貿易相手を必要とする。

Ardern on Course For Landslide Victory in New Zealand Election

ニュージーランドのアーダン首相

  今月の総選挙で与党が大勝したニュージーランドは中国と足並みをそろえることに慎重な傾向にあったが、中国は祝意を示し両国間の「相互信頼と協力」を強調した。英国のラーブ外相は最近、米中の「新冷戦」に自国がとらわれることに警戒感を示した。

  それでも、RUSIのエヤル氏はファイブアイズの協力関係強化について「中国がわれわれに必要な接着剤を提供している」との認識を示す。「新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まってから、また今年が始まって以降、中国の振る舞いは極めてひどく、明らかに敵対的で攻撃的なため、政治家を一段と結束させている」と指摘した。

原題:‘Five Eyes’ Spy Alliance Trains Focus on Xi in Echo of Cold War(抜粋)

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