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東エレク株、再び挑む3万円の壁-背中押す海外ライバルの好調

  • DRAMの力強い回復や需給環境の好調ついての示唆に期待との声
  • NANDはマイクロンの投資縮小やインテルの事業売却動向にも注意

東京エレクトロンの株価が上期決算発表を控えて足踏みしている。海外ライバル企業の好調が伝えられて上り基調の中、メモリー半導体の一部についてメーカーの投資意欲を見極めたいとの声もある。市場には、節目の3万円超えには着実な需給改善の確認が必要との見方が出ている。

強気を支える根拠  

  アナリストからは総じて強気の声が多い。メモリー半導体の一つであるDRAM需給が想定以上に強いためだ。岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは、「メモリーの中でもDRAMが来期(22年3月期)に力強く戻ってくると再確認できれば、株価も年初来高値を狙える」とみる。

  東海東京調査センターの石野雅彦アナリストも、投資家は足元業績から「需給環境の良さに目線を移している」と話す。石野氏が着目するのは、半導体製造装置メーカー最大手のオランダのASMLホールディングの受注動向だ。14日発表の7-9月期決算では、ロジック半導体や微細化が進むDRAMの製造に必要なEUV(極端紫外線)露光装置の受注持ち直しが確認された。

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東京エレクトロンの工場

Source: Tokyo Electron Ltd.

  ほかにも東京エレクを取り巻く環境には明るい材料が多い。台湾積体電路製造(TSMC)は今月、2020年の設備投資見通しを約170億ドル以上に増やした。半導体テスト製品メーカーの米テラダインの10-12月期の1株あたり利益(EPS)見通しは市場予想を上回り、携帯電話の重要部品を供給する米ザイリンクスは10-12月期から収益が好転し始めると決算で明らかにした。

  米アップルが今月発売を予定している次世代通信規格5G対応の「iPhone12」シリーズは、最先端の5ナノ半導体を搭載する。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは、中国など一部地域では、アイフォーン新機種がネット上で人気化していることなどを挙げ、「世界的に微細化技術は注目されており、イノベーションの需要は将来的にさらに増えていく流れになる」とみている。

NANDには注意も

  一方、データの長期保存に必要なNANDについては、主力のマイクロンで一部法人客の需要鈍化や21年の設備投資計画縮小の方針が示され注意が必要だと斎藤氏は指摘する。5Gなどの期待も続くため、全体として好決算でも、NANDについては「目先のメモリーメーカーの投資意欲を見極めたい」と話した。  

  米インテルは20日、NAND型メモリー事業を韓国のSKハイニックスに約90億ドル(約9500億円)で売却することで合意した。ブルームバーグ・インテリジェンスの若杉政寛アナリストは、25年にかけて段階的に買収を実施することで「買収審査が進む間にインテルのシェアが低下すれば、東京エレクに必ずしも追い風になるとは限らない」とみている。

市場へのインパクトも

  同社の上期の営業利益計画は前年同期比24%増の1270億円、通期は同16%増の2750億円。三菱モルガンの藤戸氏は、東エレクを代表とする日本の半導体関連企業が通期計画を上方修正し、来期に向けた前向きな姿勢を示す公算が大きいとみる。

  同社の予想株価収益率(PER)は20倍程度だが、ASMLは40倍を超える。単純比較はできないが、石野氏は「30倍程度まで上昇してもおかしくない」という。

  東エレクの株価は22日の取引で前日終値を挟んでもみ合った後に、0.5%高の2万9250円で引けた。3月19日の急落時から77%上昇し、日経平均株価の42%を大きく上回る。ブルームバーグのデータによると、日経平均における東エレクの構成ウエートは4.5%と、ファーストリテイリングとソフトバンクグループに次ぐ第3位。

日経平均株価を大きくアウトパフォーム

  寄与度の高い同社株が決算発表を機に波乱含みとなれば、日経平均へのインパクトも大きい。米大統領を通過すれば、「東エレクのような半導体関連の好業績株の堅調が全体相場を押し上げていく」(藤戸氏)との見方もある。東エレクは29日に決算発表を予定している。

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