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コロナ「時限爆弾」予見の香港医師、命救うため早期治療の重要性強調

  • 早い段階での入院・治療提唱-香港致死率は全世界平均大きく下回る
  • 良好な結果得るには早期のカクテル療法が必要-袁国勇教授

新型コロナウイルス感染症(COVID19)で多数の患者が集中治療を受ける事態を回避するには、そうした状況に陥る前に先手を打つことだ。感染症のパンデミック(世界的大流行)対応で香港の第一人者はこれを実践している。

  17年前に重症急性呼吸器症候群(SARS)流行で厳しい経験をした香港大学の袁国勇教授は、患者の重症化や死亡を最小限にとどめるため、早期かつ積極的な入院・治療を提唱している。新型コロナでの香港の致死率は16日時点で2%と、全世界平均を大きく下回っており、こうしたアプローチには説得力がある。

  新型コロナ治療薬の大半は治験段階のものも含め、重症患者への使用が認められている。袁氏は症状が軽くても必要に応じて隔離や監視、治療ができるよう入院させている。

HONG KONG-HEALTH-VIRUS

袁国勇教授

写真家:ゲッティイメージズ経由のアイザックローレンス/ AFP

  香港大学で15年前から感染症専門の教授を務めている袁氏は自身のオフィスからズーム経由で「英国や米国などでは症状が軽いと全く入院できないことが多く、体調がかなり悪化または呼吸困難になるまで自宅待機となる」とした上で、「一方、われわれはさほど症状はなくても基本的にどの患者も隔離のため入院させる」と語った。

  こうした戦略によって市中感染が減るほか、発熱などの症状悪化の兆候が見られたらすぐに臨床試験に参加させて治験薬の投与を開始できるという。これが重要なのは、新型コロナの「ウイルス量」はインフルエンザと同様に症状が現れたころにピークに達するためだ。

  1981年に香港大学を卒業した袁氏は微生物学者、外科医、内科医の肩書を持ち、香港の感染症流行への対応で数十年にわたって最前線にいる。98年には同僚らと共に「H5N1型」鳥インフルエンザの最初の感染者らについて指摘し、その5年後には、中国広東省広州から香港を訪れた人のSARS感染を報告した。

  袁氏は中国の環境・社会的状況がより致命的なコロナウイルス発生の「時限爆弾」になっていると2007年の論文で指摘していた。

  昨年12月、だれも抗体を持たない未知のウイルスが出現したことでこの予見は的中。効果的な治療を行う切迫した必要性が生じた。香港の医師団は回復期患者血漿(けっしょう)やインターフェロンの投与など実験的な段階にある複数の治療法を用いている。

  抗ウイルス薬のリバビリンと「カレトラ」も使用しているが、両薬は15日公表された世界保健機関(WHO)主導試験の暫定結果で患者の死亡率低下につながらないことが示された。これについて袁氏は患者の発症後すぐに投与されなかったとして、結果は驚きではないと述べた。

  袁氏は「どの抗ウイルス薬も投与が遅いと効果がないだろう」と指摘。また、併用療法ではなく単独で使用されたと言及した上で、抗ウイルス薬は「いずれも非常に緩やかに活性化するため単剤投与はあまり良くないことが分かっている」とし、「良好な結果を得るには早期のカクテル療法が必要だ」と述べた。

原題:
Treat Covid-19 Early to Save Patients’ Lives, SARS Veteran Urges(抜粋)

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