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データ改ざんの旧タカタ、欧州品質認証機関向けでも不正-関係者

更新日時
  • 自動車安全部品大手の信頼に疑問も、サプライチェーンに混乱懸念か
  • 彦根のシートベルト工場で「IATF」規格認証のためのデータ偽る

経営破綻した自動車部品メーカー、タカタの継承会社でシートベルトの出荷データ改ざんが発覚したジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン(JSSJ)で、品質管理の国際規格について欧州の認証機関から承認を得るための工程管理データに虚偽の内容が含まれていたことが分かった。

  JSSJは親会社を含めてシートベルトで世界シェア約30%を持ち、スウェーデンのオートリブや独ZFなどと並ぶ自動車安全部品大手の一角。相次ぐ不正によって製品の信頼性に疑問符がつき、顧客離れから同社の業績が揺らぐ事態になれば自動車サプライチェーン(部品供給網)の混乱懸念が生じる可能性もある。

  事情に詳しい複数の関係者によると、JSSJでは今年4月に滋賀県彦根市のシートベルト工場での検査データの改ざんが内部通報で発覚。その際、同工場で取得した品質管理に関する国際規格を承認する認証団体「国際自動車産業特別委員会(IATF)」へのデータでも実際と異なる内容があったことが指摘されていたという。

  関係者らによると、品質管理の規格に関する不正が行われた時期などについてはわからないという。

  JSSJの岩満久好社長に一連の問題への対応についてコメントを求めたところ、PR会社の担当者を通じてまだ調査中で話せる状況ではなく、今後事実や数字を正確に正式な形で表明したいとし、それ以上のコメントは控えた。

  カノラマジャパンの宮尾健アナリストは新たな不正について、公的な英語の資格試験を受託する学校が生徒の回答用紙を書き換えて提出させていたようなものと表現。欧州メーカーには一時的にせよ取引停止などの影響が出るほか、日本などそれ以外の地域でも同様の対応を取る自動車会社が出てくるのではとした。

調査中

  こうした問題が表面化すると自動車メーカー側も旧タカタやJSSJの製品を精査するようになり、「そこから不良品が発覚すれば、新たなリコールにもつながりかねない」と話した。

  IATFが認証する「IATF16949」のような品質管理規格は生産工程全般のチェックを通じて製品の欠陥や品質のばらつきを抑えることなどを目的としており、ドイツのフォルクスワーゲンダイムラーなど欧米の自動車メーカー9社が加盟している。こうした認証の取得は部品メーカーにとって事実上、自動車メーカーとの取引の前提条件になっており、取り消された場合には業績への影響が大きい。

  日本経済新聞は15日、強度が法令違反にあたるシートベルトは国内だけで計900万本にのぼる見通しとなった、とJSSJ関係者を引用して報道。自動車のリコールは200万台に及ぶ可能性があるほか、チャイルドシート⽤ベルトでも強度データを改ざんしていたことが分かったとも報じた。

  国土交通省の担当者は日経の報道を確認した上で、同省では彦根市の工場で製造され、データが改ざんされたシートベルトの数や搭載された車の数、不正期間などについて調査中としていた。

社外取締役は退任

  一方、関係者によると、出荷不正問題などについては旧タカタのエアバッグリコール問題を受けてガバナンス強化のために設立された、社外取締役らで構成する監査等委員会のメンバーが社内調査を求めていた。JSSJの法人登記簿によると、8月20日に複数の監査等委員が退任している。

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  JSSJの米親会社JSS広報担当のブライアン・ジョンソン氏は14日に公表した声明で、過去20年以上にわたり入手可能で関連性があるデータについて調査を行っているとコメント。2018年に同社がタカタ事業を継承した以前から起きていた問題であるとし、現時点では同社は走行中の不具合は確認していないとしている。

  寧波均勝電子は上海証券取引所向けに発表された19日の声明文で、メディアで指摘されている「データの整合性に関する問題」は、おおむね問題の工場がタカタによって保有されていた00年から10年の間に起きたものだとした上で、現在、工場の生産設備が同社の管轄下に入って以降の慣習について調べているとした。

  破綻直前のタカタの年間売上高は6600億円程度だった。JSSを保有する中国の電子部品メーカー、寧波均勝電子の昨年の売上高は約617億元(約9700億円)で現在もJSS分が大部分を占めるとみられる。

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