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王制批判デモ広がるタイ、政府は収拾に四苦八苦-厳しい弾圧の恐れも

  • ソーシャルメディアから拡大、デモ参加者ら香港型の戦術採用
  • 政府の対応裏目の恐れ、逮捕しても新たなリーダー現れると識者

タイでは街頭デモが激化すると、厳しい弾圧やクーデターが最終的に発生するまで終わらないということが過去数十年繰り返されてきた。

  だが今回のデモが提起する問題は、タイの既得権益層にとってこれまで以上に大きい。学生が主導するデモ参加者は、自ら権力を手にしたいと考えているわけではなく、望んでいるのは根本的な政治制度の変革だ。王制を批判することも恐れない。

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バンコクの街頭に展開する治安部隊(15日)

出典:ゲッティイメージズ経由のAFP

  王族を侮辱すれば最長15年の禁錮刑が科されるタイで、君主制を公に議論することは長らくタブーだった。それが、国王の批判をしやすいと一部で考えられているソーシャルメディアで火が付き、街頭へと広がっていった。プラユット首相ら王党派の既得権益層はいまや抑え込みに四苦八苦している。

  タイ政府は15日、首都バンコクで非常事態宣言を発令。大規模な集会を禁止するとともにデモの主要リーダーを逮捕し、君主制への「不敬」を止めるための行動を取った。軍の元幹部で2014年のクーデターを主導したプラユット首相は16日、辞任はしないと表明し、「状況が改善すれば」非常事態宣言を30日間の期限を待つことなく解除すると述べた。

  だが15日夜のデモは大規模に膨れ上がり、参加者はデモ継続を言明した。今週逮捕されたデモのリーダー、パリット・チワラク氏は全国でデモを継続するよう獄中から書簡で呼び掛けた。同氏はさらにデモ参加者に対し、事態に柔軟に対処できる姿勢を維持し、夜通し同じ場所にとどまることがないよう呼び掛けた。これは最近の香港などで使われた戦術だ。

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15日夜にバンコクで開催されたデモ

写真家:ゲッティイメージズ経由のジャックテイラー/ AFP

  政府はいまやデモを止めるため強硬な措置を講じる必要があるかもしれず、1973年、76年、92年、2010年に見られたような弾圧で流血の事態に発展する恐れが高まっている。街頭デモを止めることができるとしても、ソーシャルメディアでの議論を抑え込む方法を見いだし、デモへの支持が広がる火種となっている不平等や汚職、権力乱用などの問題に対応する必要がある。

  ウボンラチャタニ大学のチチポル・パクデーワニチ政治学部長は「この運動はソーシャルメディアで始まったため、ソーシャルメディアにその機運が依然ある」と指摘。リーダーを逮捕しても別の新たなリーダーが現れるだろうとし、「政府の戦略がやぶ蛇となり、デモ参加者を増やす結果になりかねない」との見方を示した。

原題:
Thai Leaders Have No Easy Options to End Anti-Monarchy Protests(抜粋)

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