謎の巨額資金流出入、巨大ハイテクETFで継続-背景巡り複数の観測
Katherine Greifeld-
「インベスコQQQトラスト」で記録的な資金の流出入が続いている
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オプション取引活発化や個人投資家の旺盛な意欲が背景にあるとの声
世界最大級の上場投資信託(ETF)の1つで異例な大規模資金流出入が続いており、ウォール街のアナリストらの頭を悩ませている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、運用額1460億ドル(約15兆3600億円)規模のETF「インベスコQQQトラスト・シリーズ1」では過去1カ月間、1日当たりの資金流出入額が平均15億ドルとなっている。9月18日には過去20年で最大の資金流出に見舞われたが、翌営業日には同期間で最大の資金流入を記録。その翌週には30億ドル規模の流入と流出が続き、今週も1日で37億ドルの流入があった。
ナスダック100指数に連動する同ファンドは市場で最も取引されているETFの1つだが、通常のポートフォリオのバランス調整時期とは重ならないとみられる中での大規模な資金流出入の要因を巡り、アナリストの見解は割れている。
個人投資家の新たな投資熱が資金の流れを加速させているとの声がある一方、このところ活発化しているオプション取引のヘッジとして同ETFが使われているとの観測も出ている。また、3月に付けた安値から70%余り上昇しているテクノロジー株の今後の見通しを巡り、強気派と弱気派が綱引きを繰り広げていることが巨額流出入の背景にあると指摘する声もある。

大規模な現金の動きは、オプション取引活発化の副産物かもしれない。13日の個別株オプション市場では、アップル株のオプション取引高が約370万枚に上り、20日平均の195万枚を大幅に上回った。フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、アルファベット、アップル、マイクロソフトのコールオプション(買う権利)の建玉は9日までの30日間で平均129万枚と、2019年初め以来の高水準となっている。
通常、コールオプションの売り手は自身のポジションのヘッジとして現物株を購入する。しかし、インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏によると、QQQのほぼ半分をいわゆるFAANG銘柄が占めているため、同ファンドの購入が「間に合わせ的なヘッジ」になっているという。
デイトレーダーのオプション取引活発化、市場に再び「泡の兆候」か

一方、今年の株式市場回復の原動力となってきた個人投資家の動きが背景にあるとの声もある。ムーアズ・アンド・キャボットのマネジングディレクター、ジェームズ・ピロー氏は、「こうした極端な動きは伝統的投資家によるものではない」とし、人気の投資アプリ「ロビンフッド」利用者やデイトレーダーら個人投資家が動いているに違いないと語った。
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原題:
Mysterious Mega-Flows Rotate Through World’s Biggest Tech ETF(抜粋)