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コロナで生まれたオフィス需要、貸会議室のTKPが描く未来

更新日時
  • サテライトオフィスやウェブセミナー開催など新たな需要取り込む
  • 株価は年初来で軟調、利用増追い風に上昇余地との声も

貸し会議室やレンタルオフィスを手掛けるティーケーピー(TKP)は、新型コロナで生まれた顧客の新しいオフィス需要を、買収した海外ネットワークをてこに獲得し顧客拡大を目指す。

  創業者で代表取締役社長の河野貴輝氏はブルームバーグとのインタビューで、「業務の継続性確保やオンラインセミナーの開催など、国内企業の取り組みで新たな需要が生まれている」と話す。固定賃料を払って長期間借りるというオフィスの常識は薄れ、必要なときに必要な時間とスペースだけ利用するフレキシブルな契約が増加するとみる。

TKP CEO and Its Rental Office Space

品川のレンタルオフィス

  2019年のフレキシブルオフィスの市場は2000億円と、オフィス市場全体の1%程度だったが、2030年には6兆円に成長し全体の3割を占めると同社は試算する。会議室の時間貸しや、株主総会の会場として利用する企業に機材をパッケージ販売するなど、「付加価値を付けて勝負していく」(河野氏)という。

  フレキシブルオフィス市場の拡大は、オフィス空室率の上昇と背中合わせだ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は7月のリポートで、オフィス空室率は今後5年間で過去最高を更新し続ける可能性があると分析した。実際、一部の企業もオフィス縮小の検討を始めた。7月に富士通が今後3年間で日本のオフィススペースを50%削減すると発表したほか、野村ホールディングスや東芝などもオフィス縮小の考えを示した。

  こうした追い風を背景に、河野社長は今後2-3年の間に商機が来ると予想する。5年間の定借で新築ビルを契約していても、契約満了の2、3年前から徐々にオフィス縮小やフロアの返上、サテライトオフィスの賃借などを企業は検討し始める。そうなればTKPの提供するレンタルオフィスや時間貸しの会議室への需要が高まるという。新築ビルに2、3年前から契約をしていた企業や、次の長期契約のための物件を探すまでのつなぎでオフィスを必要とする顧客も取り込む公算だ。

TKP CEO and Its Rental Office Space

TKPの河野社長

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

  昨年レンタルオフィスのリージャスを買収したことで、顧客は全国のTKPとリージャスのオフィスだけでなく、海外のリージャスグループのラウンジや個室が使える。河野社長は、「ネットワーク力やブランド力こそが強みで、そこを磨いていきたい」と意気込む。アジア展開への意欲も強いようだ。現在は、コロナの影響で香港などアジア各地のビジネスが厳しく、積極展開は一時停止している。だが、「フレキシブルオフィスの流れは続いている」としてタイミングを見ながらシェア獲得を目指す。

3-5月営業赤字でもアナリストは強気

  

  同社の20年3-5月期業績は、新型コロナによるマイナス影響の大きさを浮き彫りにした。緊急事態宣を受けて貸し会議室の予約キャンセルが相次いだことなどが響き、2017年に上場して以来初の営業赤字となった。21年2月期の計画は新型コロナの収まる時期や業績への影響が不透明であることを理由に開示していない。

  8日のTKPの株価は、一時5.1%高の2800円と4日続伸している。3月の急落で大きく下げた水準からはリバウンドした。半面、上場来高値圏にあった年初の株価からは40%近く下落した水準にとどまる。

TKPの株価

  だが、アナリストの一部には強気な見方もある。アシンメトリック・アドバイザーのアナリスト、ティム・モース氏は、企業が新たな人事管理制度を構築することで、在宅勤務やサテライトオフィスを柔軟に利用するようになると予想する。そのような流れの中で株価が3月の水準から大幅に戻していることを考えれば、上昇の余地は十分あるとみる。

  TKPは3-8月期決算を15日に発表する。SBI証券の小澤公樹シニアアナリストは、イベント向け会議室需要の鈍い回復が収益の重しとなる状況は今期いっぱい続きそうだという。回復は鈍くても、レンタルオフィスを巡る事業環境は引き続き追い風であると同時に、次の四半期に向けていかに費用としての賃料を抑えてマージンを回復させられるかが評価のポイントになると話した。

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