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遠のく物価モメンタム復活、日銀試算の需給ギャップがマイナス転化

  • インフレ期待も下振れ、デフレマインド再燃に注意必要
  • 物価目標のあり方含めて日銀は政策検証を-大和証・岩下氏

日本銀行が新型コロナウイルス感染症の影響拡大前まで重視してきた物価のモメンタム(勢い)の復活が一段と遠のいている。日銀試算の4-6月期の需給ギャップは約4年ぶりに供給が需要を上回るマイナスに転じ、デフレマインドの再燃にも注意が必要な情勢になりつつある。

  日銀が5日に発表した日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差を示す需給ギャップは4-6月期にマイナス4.83%となり、2016年7-9月期以来のマイナスに転じた。リーマンショック以来の大きなマイナス幅だ。

急降下

日本経済の需給ギャップは4年ぶりマイナス

出所:日本銀行

  日銀は金融政策運営に当たって、従来は需給ギャップとインフレ期待を中心とした物価のモメンタムを重視してきた。黒田東彦総裁は物価のモメンタムは「いったん損なわれた状態」とすでに認めているが、引き続き2%の物価安定目標の実現を目指す考えに変わりはないと繰り返している。

  8月の消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はエネルギー価格の下落や「Go Toトラベル」といった制度要因などで前年比0.4%低下とマイナスに沈んだ。今後も需給ギャップのマイナス転換に伴う需給面からの下押しに加え、昨年10月の消費税率引き上げによる影響の一巡などでさらなる低下は避けられない情勢だ。

インフレ期待も低下傾向

  インフレ期待も低下傾向にある。1日公表の9月日銀短観における企業の物価見通しでは、3年後と5年後の消費者物価見通しが3四半期連続で伸び率が縮小した。市場やエコノミストの物価予想も総じて下振れている。

  大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、需給ギャップのマイナスは想定されていたことであり、それを持って日銀が金融政策対応に動くことはないとし、「日本経済が明確な持ち直しに向かうまでは、我慢の時間帯と覚悟してコロナ対応と金融システムの安定に注力することになろう」と指摘。その上で、景気持ち直しが期待される来年度以降に、日銀は物価目標のあり方を含めて「金融政策の効果と副作用について検証すべきだ」と語る。

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